富田雅哉、16年前の感動をもう一度・・・
国内男子ツアー「マイナビABCチャンピオンシップゴルフトーナメント」の前身、1995年の「Philip Morris Championship」でツアー初優勝を果たしたのは田中秀道だった。その田中のキャディバッグを担いでいたのは、当時18歳の富田雅哉だった。
田中に声をかけてもらいキャディをすることになった富田は「何もわからない高校3年生でしたけど、感動したことを覚えています。優勝するっていいなと思いました。最終18番で優勝を決めるパットのイメージが凄く残っています」と当時のことを思い出す。その感動から自身もプロの道を進むことを決意したのだ。
その富田が今大会2日目に7バーディ、ノーボギーのラウンドで通算9アンダーまで伸ばし、17位タイから2位に1打差の単独首位に浮上した。今季はショットの不調から好成績を出せずに、これまで賞金ランキング75位と低迷している。「シード権は落したくない。ダメでもちゃんと自分のゴルフのゴルフができれば、また這い上がれると思うので」と、少し消極的な発言をする。
ところが、師匠の田中秀道の話題になると、表情を引き締める。田中は今週のテレビ中継で初めての解説を担当している。「ラウンド中もカメラが近づいてくると、画面の向こうで秀道さんが何を言っているのか怖くて、緊張しましたよ」と、常に師匠の存在を意識しながらプレーを続ける富田。
「最近は直接お会いしてないのですが、秀道さんの前で変なプレーはできませんから・・・」。気合いの入る富田だが、解説をする田中は「裏方からトーナメントを見るというのが、すごく良い経験になった」と、初体験の仕事に精一杯向き合っている。そんな田中の目の前で、16年前に2人で掴んだ “優勝”を今度は選手として富田が掴むことは出来るか。そうなった場合、田中は嬉しさを隠せず声を震わせ解説どころではなくなってしまうはずだ。(兵庫県加東市/本橋英治)