シード権危機の手嶋多一「諦めずに」
国内男子ツアーの今季メジャー第3戦「日本オープン」初日、韓国のチョ・ミンギュが4アンダーの単独首位発進する中、混戦模様の2アンダー2位タイグループにベテランの手嶋多一が入った。
5番までに2つのボギーを叩いて苦しい前半、アウトをプレーしていた手嶋。しかし6メートルを沈めた9番から状況は好転した。続く10番でもフェアウェイから5番アイアンでバーディチャンスを作り、5メートルを沈めて連続バーディ。さらに12番ではフェアウェイから残り95ヤードの第2打を直接沈めてイーグルを奪った。
「朝一でボギーを打って、どうなるかと思ったけど、キャディから『まだまだ耐えましょう』と言われてね。あまりピンを狙わずに(グリーンの)真ん中をめがけて行った」。セーフティな攻めで我慢を続け、静かにチャンスを待ったことが実を結んだ。
今季はここまで9試合で予選落ち。現在、15年連続で賞金シードを確保しており、これは今年のシード選手の中では、鈴木亨の18年に続く2番目に長い記録だ(ちなみに手嶋に続くのが14年連続の片山晋呉、谷口徹、藤田寛之の3人。過去の最長記録は尾崎将司の32年連続)。だが現在の賞金ランクは94位とお尻に火がついた状態。笑顔は絶やさないが「めちゃくちゃ焦っている。シードは毎年クリアしたいと思ってやっている」と言う。
体力の衰えを感じ、安定したプレーを4日間続けることが難しい。残り試合数も少なくなり「大幅な切り替えが必要だけれど、それができない」と、もどかしさがある。今の状態を支えるのは「前向きにやらないと。諦めずに」と自らを奮い立たせる気持ちだ。
今大会の出場資格は「過去10年の日本オープンチャンピオン」というカテゴリー。そして2001年大会の王者にとって、その権利の“有効期限”は今年が最後となる。最終日の16日(日)は43回目の誕生日。節目の年の好スタートも、何かのめぐりあわせかもしれない。(千葉県千葉市/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw