諸藤将次“鬼門”の第3ラウンドに後退
三重県のTOSHIN Lake Wood Golf Clubで開催中の国内男子ツアーの第14戦「TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN LakeWood」3日目。9アンダーの5位タイから出た諸藤将次は4バーディ、4ボギーの「72」で12位タイへと後退。トップとの差は8ストロークに拡がってしまった。
スコアの伸ばし合いが展開されたムービングデー。上位陣から後退した諸藤が悔やんだのは前半6番だった。多くの選手が2オンを狙うパー5。ツアー一の飛ばし屋ももちろん同じ。しかし右ラフから7番アイアンでグリーンをめがけて打った第2打は、クラブフェースが深い芝に引っかかったのか、打球は右の林めがけて一直線。奇跡的にOBは免れたものの、結局バーディが欲しかったホールを4オン2パットのボギー。「とにかく伸ばすことだけ考えていた。バーディ合戦だったんで。(芝が)順目だったから大丈夫だと思っていた」。そして「勝負をかけるホールを間違ってしまった。早かったですね…」と唇をかんだ。
前週の「フジサンケイクラシック」で悲願の初優勝。連日の豪雨により競技成立となる36ホールでの戦いを制した。選手たちは同じ条件下で戦った。だから短縮競技であっても決してその1勝の価値が劣ることは無い。それでも72ホールを戦い抜いて次の勝利を手にするまで、その“36ホール勝者”ということは付いて回る。そしてそれは「自分でもちゃんと72ホールをプレーして勝ちたいという思いはある」と本人が一番分かっている。
すると諸藤は自分の“弱点”を口にした。「優勝する前から人に言われることが多かったんです。初日、2日目に良いスコアを出しても、それ以降(決勝ラウンド)で崩れるって」。確かに前週までの今季のデータを見ると、予選カット前の平均スコアは71.38ながら、第3ラウンド73.57、最終ラウンド72.43と決勝ラウンドで後退。例えばこれが石川遼だと、予選71.00に対して第3ラウンド68.75、最終ラウンド68.63とトーナメントの後半にスコアを伸ばす傾向にある。
技術、精神状態など要因は様々あるはず。その中で「まず僕には、まだ経験が足りない」と言う。アマチュア時代から大勢のギャラリーの前でプレーするのが好きだった。しかし、プロ転向から前週までシード権を確保したことが無く、プロツアーでの4日間を通した戦い方を勉強している最中でもある。
ただこの日は、いつものような失望ばかりではなかった。その後12番までに2つスコアを落としたが、後半に挽回して「72」でフィニッシュしたことには自ら成長を感じ取る。「きっと今までなら、そのあと2オーバー、3オーバーと崩れていたはず」。2週連続優勝は遠のいたが、控えめに笑って、翌日のティオフを心待ちにしていた。(三重県津市/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw