2011年 VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント

藤田寛之、テレビに映りたい理由

2011/08/25 19:32
「父は体型も似ている。だから背が伸びなかった」と言う藤田寛之。その父に雄姿を見せるため強い気持ちで戦っている

福岡県の芥屋ゴルフ倶楽部で開幕した、国内男子ツアーの第12戦「VanaH杯KBCオーガスタ」。韓国のベ・サンムンが7アンダーで単独首位発進する中、藤田寛之キム・キョンテ池田勇太と並んで1打差の2位タイと好発進を決めている。

初日は10番からスタートし、11番で1メートルのパットを外してボギーを先行させてしまった藤田。しかし13番(パー5)で2オンに成功しバーディを奪うと、勢いに乗った。続く14番では右ラフから残り38ヤードの第2打をサンドウェッジで直接カップに放り込みイーグル。「いい流れに変わった」と両手でガッツポーズを見せると、続く15番ではティショットから3番ウッド、ピッチングウェッジでピンそば2メートルにつけてバーディ。その後もスコアの伸ばし合いとなる展開を引っ張り、「66」の6アンダーでホールアウトした。

スイング修正への試行錯誤が続く中、いぶし銀のベテランが狙うのはもちろん今季初勝利だが、今回最初の目標としているのが優勝争い。それもちょっと変わった理由なのだ。

福岡県出身の藤田は、この大会はもちろん地元での“凱旋試合”。しかし今年は、毎年観戦に訪れる父の寛実さん(72歳)の姿が無い。実は数週間前、転倒して左肩を骨折し治療を余儀なくされている。それ故に今大会は「テレビ放送に映らないといけない。『お前が優勝すると3年寿命が延びる。テレビに映らない、勝たないと寿命が縮まる』と言われる」と意気込みは並々ならない。乗り物が苦手な父が1シーズンで試合会場を訪れるのは今大会だけ。残念ながら生でプレーを見せることは出来なくなったが、なんとか雄姿を見せようと必死だ。

1秒でも長くテレビにその姿を映すには、上位争いが必須。42歳の親孝行。初日の好スタートで、その第一段階をクリアした。(福島県糸島市/桂川洋一)

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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