新しい一歩を踏み出した日韓戦。定着なるか
韓国・釜山近郊のチョンサンカントリークラブで行われた日韓プロゴルフ対抗戦「ミリオンヤードカップ」。両チーム同点で迎えた最終日は韓国チームがシングルス・ストロークプレーで圧勝し、自国で昨年のリベンジを果たし、幕を閉じた。
ゴルフにおいてもライバルといえる国同士の対抗戦は2004年、2010年に続き今大会が3回目。日本と韓国の各都市を結んだ距離が約100万(1ミリオン)ヤードとなることから、今大会「ミリオンヤードカップ」と銘打たれ、大会は新しい一歩を踏み出した。
しかしこの最終日、途中で雷雨にも見舞われた影響もあってか、来場者は2400人。日本男子ツアーの近年の状況からいえば数分の一の数にとどまった。大会3日間での総入場者数は5000人では「日本で開催したら、もっとギャラリーも多いはず」というのも正直なところ。
両国のツアーは来年度の開催の準備を進めており、現在、日時及び会場の選定を続けている。しかし関係者によれば、日本ではスポンサー探しが困難で、来年度も韓国で行われることが濃厚だという。今大会はY.E.ヤンを米ツアーから呼び寄せ、この日の会場には大会スポンサー以外に国内の財閥企業、報道機関のトップが会場を訪れるなど、開催に向け積極的なのは、やはり韓国サイドだ。
「野球やサッカーでは、おもしろいくらい毎回接戦で、勝ったり負けたりを繰り返している」と石川遼が言うように、日韓戦といえば両国の代表選手がプライドをぶつけ合う姿を国民が注目する一大イベント。しかしその意味で、特に注目度から言えばゴルフは、まだ発展途上だ。今大会の優勝賞金20万ドルは、東日本大震災の被災地への義援金として送られる。けれど今後、チャリティの意味合いだけでなく、良い意味での“意地の張り合い”さらに強まれば、注目度は高まり、日韓のプロゴルファーにとって、より大きな価値のある大会となる。【韓国・釜山/桂川洋一】
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw