青木ジャパンの“持ってる男”は…?
日韓プロゴルフ対抗戦「ミリオンヤードカップ」は2日(土)、韓国・釜山近郊のチョンサンカントリークラブで大会2日目の競技を実施。この日はダブルス・フォアボール形式でのストロークプレーで争われ、片山晋呉&池田勇太組がこの日唯一の白星を日本選抜にもたらした。
4組目でラウンドしたこのペアのうち、前半からポイントを重ねたのは片山だった。1番からバーディを続け、3番で初のリードを奪う。7番ではフェアウェイからの第2打をピンそば1.5メートル、8番(パー3)ではピンそば80センチにつけるショットを披露。パットも好調で後半に入っても、もうひとつチャンスが来ない池田を引っ張った。
しかし試合は粘る韓国のベ・サンムン&カン・キュンナムに、17番で追いつかれる展開に。ここで日本は最終18番、片山が第2打でグリーン右手前に外してしまうが、池田がフェアウェイからピン左1.5メートルにピタリとつけるスーパーショットを炸裂させる。この1打で相手ペアにプレッシャーをかけ、韓国のカンはピン奥からの下りのバーディパットを“入れにいって”2メートル以上オーバー。結局ボギーとする一方で、池田はこのバーディパットを沈めてガッツポーズ。劇的な幕切れに周囲は拍手喝采となった。
興奮冷めやらぬラウンド直後、片山は「いい勝ち方をした。勇太が最高のバーディを取ってくれた」と満面の笑み。そして「良くやった!最後の1ホールだけ、良くやった!」と冗談めかして言った。すると大先輩からの声に、いつもは肩で風を切って歩く25歳は恐縮しきり。「途中はずっと片山さんに“おんぶに抱っこ”だった」。18番のグリーンサイドからは「勇太、日本一!」と声が飛んだが「見られたところだけ日本一…」と照れ笑い、いや苦笑いを浮かべた。
チームの総合ポイントでは、この2日目に韓国に追いつかれて最終日を迎えることになった。それでも片山は「この勝ち方は大きい。勢いがつくと思う」と言う。おぜん立てを、最後の最後にきっちりものにした池田の“力”を讃えた。
今大会、なにやら日本チームは互いをサッカーの日本代表に置き換える選手もいる。青木功主将はザッケローニ監督、チームをリードするゲームキャプテンの役割を背負わされた藤田寛之には「長谷部!長谷部!」と声が飛ぶ。絶対に負けられない戦いで、確固たる結果を残す日本ゴルフ界の“持ってる男”は誰なのか、最終日に見極めたい。【韓国・釜山/桂川洋一】
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw