日韓戦開幕 日本チームを結束させたのは…?
韓国・釜山近郊のチョンサンカントリークラブで開幕した男子プロゴルフの日韓対抗戦「ミリオンヤードカップ」。初日の1日(金)、開会セレモニー直後のパッティンググリーン上には、意外な?光景が広がっていた。
アウエーでの決戦を前に、連覇を狙う日本選抜の全選手、キャディ、そして青木キャプテンが円陣を組み、互いに肩を寄せて意思統一。輪の中心から聞こえる「日本のために頑張りましょう!」という声で、メンバー一同が高らかに気勢を上げた。
その声の主はチーム最年長の42歳、藤田寛之。昨年に続き青木功がキャプテンを務めているが、プレーする選手のリーダー役としてチームメイトから指名を受けた。近藤共弘はゴム製の腕章、サッカーでいう“キャプテンマーク”を石川遼に用意させているという。開幕直前まで「勘弁してよ」と、その役目をやんわり拒否していたが、仲間からの要望に説得された格好。それでもY.E.ヤンを米国から呼び寄せて意気の上がる韓国チームに比べて、なんとなく大人しい印象だった日本勢の背筋も、ティオフ直前の円陣で伸びたようだった。
藤田と言えばツアーきっての完璧主義者で、職人気質で、ガンコなプロ。冷静沈着な口調でも知られ、選手たちを引っ張っていく存在とは本人も感じていないのかもしれない。しかし韓国勢が上位を占めた前週の男子ツアー「~全英への道~ ミズノオープン」では珍しく怒りをあらわにして「若い選手は何をやっている。根性が足りないのでは」という力強いメッセージを残した。実績に裏付けされた存在感は決して小さくない。
この日のラウンド終了後「そういう役割で良ければいくらでもやる。チームのためであれば最年長として何でもやりたい」と藤田は言った。周りからの信頼を肌で感じて芽生えた、リーダーの自覚。朴訥ながら常に手を抜かず真剣勝負。「チーム藤田」の戦いの行方に注目したい。【韓国・釜山/桂川洋一】