ゴルフも「一生懸命」 深堀圭一郎は俳優・渡辺裕之さんをしのぶ
◇国内男子◇アジアパシフィックダイヤモンドカップ 最終日(15日)◇大洗GC(茨城)◇7163yd(パー70)
悲報はゴルフコースで受けた。今月3日、俳優の渡辺裕之さんの突然の他界は、多くのプロゴルファーをも動揺させた。「信じられない、信じたくなかった」と言うのはベテランの深堀圭一郎。関係者からの連絡で言葉を失った。
深堀と渡辺さんは2009年4月から8年以上にわたってテレビ番組で共演した仲だった。テレビ東京系列の「ゴルフの真髄 ARTISTIC GOLF」は、毎回数多くの男女トッププロを招いて対決した人気番組。17年9月に惜しまれながら終了した。
番組が終わっても親交は途絶えず、昨年7月に深堀がシニアツアーで初優勝を遂げたときにも祝福の連絡があった。「何かの縁でまた一緒にゴルフができたらと話していたんだけど…」と声を落とす。「ご家族が一番大変。すごく大きなショックを受けられたのは間違いない」と表情に沈痛さが浮かんだ。
収録のたびに深堀は渡辺さんの「まじめで一生懸命」な人間性に触れてきた。「そして、他人の悪口を決して言わない。物事をすごくフラットに見ていて、やるべきことに常に責任を持っていた」
ゴルフのスキルアップに対する姿勢も真剣そのもの。「本当にゴルフがお好きでエネルギッシュ。こだわりも強くて、撮影のたびに違うクラブを持っていらした。番組のゲストのプロのプレーを見て、いつも『少しでも何かを盗もう』と目を凝らしていた」。深堀だけの撮影の時間帯も、カメラフレームの外で真似をするように練習。毎年1回、4泊前後のグアム島での収録は「仕事の後もずっとゴルフ。“合宿”状態だった」という。
深堀は前週、「ダイヤモンドカップ」でレギュラーツアーに今季初出場。今年は渡辺さんの故郷である茨城・水戸市に隣接する大洗GCでの開催とあって、縁を感じざるを得なかった。
「たまたま、水戸の近くで試合があるのは、なんとも不思議だなって。渡辺さんは納豆へのこだわりもすごくて。そういうのを見るたびに渡辺さんらしいなと思っていた」。今大会はキャップに喪章をつけてプレーし、天国に感謝を込めた思いをはせた。「渡辺さんに出会ったことは僕の財産です」――(茨城県大洗町/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw