2021年 日本オープン

中島啓太はZOZO経由の過密日程で「アジアアマ」へ

2021/10/18 11:46
過密日程でアジアアマへと突入する中島啓太

◇国内男子◇日本オープンゴルフ選手権競技 最終日(17日)◇琵琶湖CC(滋賀)◇6986yd(パー71)

腰に不安を抱えながらも、4日間を戦い抜いた世界アマチュアランキング1位の中島啓太(日体大3年)。身体が万全ではない中で、トレーニングや練習量を調整し、腰への負担を軽減しつつ挑んだ試合。「結果的にはひどかったので悔しい思いが強いけど、まずはプレーできたことにひと安心しています」と、通算6オーバー68位で終えた一週間を振り返った。

積極果敢なプレーが印象的だった。最終日はティが前に出された6番(317yd/パー4)で、1Wを握って見事1オンに成功してイーグルを奪ってみせた。直後の8番(パ-5)はティショットが左ラフへ。一度は7Iを握ったが、「構えたらボールのライがめっちゃ良くて。右からの風だったし『やりたい』ってキャディに言って7Wを持ったら…失敗しました」と、サブグリーン手前の距離のあるガードバンカーに入れてダボとした。

ロープ外で観戦していた滋賀県出身の女子プロゴルファー松田鈴英は「(ゴルフが)仕事になったらすぐ刻んじゃう。私なんて刻んでばかりだから…」と、我が身と比べてため息をつくような決断だったが、そこにアマチュアの特権がある。

遊び心か、心の余裕か。270yd付近から右にドッグレッグする14番は、ティショットで刻む選手が多い中、中島は開幕前から1Wで打ちたいと公言していた。初日こそ、迷った末に3Wを握ったが、2日目以降は1Wで攻め続けた。初日終了後は「取材で『1Wで打つ』って言っちゃったので…」と3Wを握ることに躊躇(ちゅうちょ)したと明かしたが、2日目以降は逆に「(記者の姿が)見えたので」と冗談めかして胸を張った。今はまだ、目先の結果より伸びしろを楽しむ時期だ。

ウッドを振り抜く中島啓太(写真は大会2日目)

次戦は米ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」(21~24日/千葉・習志野カントリークラブ)に推薦出場。予選落ちのない4日間のあとは、2日間のオフを挟んで27日(水)から3日間、大学の団体戦に出場し、翌30日(土)の夜に「アジアパシフィックアマチュア選手権」(11月3日開幕)が行われるドバイ(UAE)に向かって出発する。

「ZOZO」のキャディは「マイペースな性格がすごく似ている」という大学の先輩、石川航が務める予定。今年の全英覇者であるコリン・モリカワとの練習ラウンドの話もあり、「楽しい一週間になると思う」と世界最高峰の舞台を心待ちにするが「アジアアマに向けての来週」と目標はぶれていない。

「まずはアジアアマで優勝してマスターズの切符を獲りたい。来年、一番達成したいのは(出場が決まっている)全英オープンでローアマを獲ること。その先に何があるかは分からないので、そこを達成することに集中したい」と描く未来は来年夏まで。その先に続くドラマは、神のみぞ知る領域だ。(滋賀県栗東市/今岡涼太)

■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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