アマチュアだから…ユウカ・サソウが母国ゴルフ協会に多額寄付
◇女子アマチュア競技◇アジアパシフィック女子アマチュア選手権 2日目(26日)◇ザ・ロイヤルGC(茨城県)◇6431yd(パー72)
昨年8月にインドネシアの首都ジャカルタで開催されたアジア大会のゴルフ競技で、女子個人・団体で2つの金メダルを獲得した17歳のユウカ・サソウ(笹生優花/フィリピン)が母国に戻ると、驚きの連絡が待っていた。
それは、金メダルの報奨金としてフィリピン政府から1000万ペソ(約2140万円)が支払われるという知らせだった。だが、ゴルフにはアマチュア規定というものがある。窓口となっていたフィリピンゴルフ協会に確認してみると、やはり「お金を受け取ると、アマチュア資格は維持できない」という回答だった。
サソウはいう。「アマチュア資格は持っておきたかったし、最初は(報奨金を)もらえるとは知らなかった。だから、(お金を)戻すのはぜんぜんもったいないとは思わなかった」と、残り2人の団体メンバーとも相談して、この全額をフィリピンゴルフ協会に寄付することにしたという。
「みんなで話し合って、若いゴルファーやサポートを必要とするゴルファーたちに還元することに決めたんです」とサソウはいう。「悲しい気持ちはまったくなくて、逆に応援してくれた人たちに恩返しができて嬉しいです」と明るい笑顔で教えてくれた。
その結果、フィリピンゴルフ協会はナショナルチームのためにジャケットや国旗をつけた旅行カバンをそろえたり、ジュニアトーナメントやゴルフクリニックも数多く開催できるようになったという。
サソウは今年4月に初開催となった「オーガスタナショナル女子アマ」で3位と健闘。来年には米ジョージア大への進学も内定している。「オーガスタでプレーしたかったし、この試合でもプレーしたかった」と、アマチュア資格はいまも存分に活用している。
すでに、母国では著名な存在になりつつある。「(フィリピンは)ゴルフ人口が少ないから、覚えやすいは覚えやすいと思うけど…」。今週は2日目を終えて7オーバー20位タイ。だが、その背中を押す声は、遠くフィリピンからも聞こえてきそうだ。(茨城県鉾田市/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka