「withコロナ」のゴルフフェア 対策と戸惑いと課題
2年ぶりの開催となった日本最大級のゴルフ見本市「ジャパンゴルフフェア」(パシフィコ横浜/横浜市)が14日に閉幕した。首都圏4都県を対象に緊急事態宣言が延長されたことで開催を危ぶむ声もあったが、予定通り12日から3日間の日程で実施。新型コロナウイルス対策も大きなテーマになった「with コロナ」のフェアを追った。
収容人数は上限5000人 事前登録制で管理
運営事務局は場内に収容できる人数を最大5000人に制限。すべてのイベント参加者は事前登録が必要となり、一人ひとりに発行されるQRコードで管理することにより、場内の人数をリアルタイムで監視する態勢を整えた。QRコードの提示とサーモカメラによる発熱検査を経て、はじめて入場が認められる。
密を防ぐレイアウト作り
展示スペースは例年の6分の5に縮小。今年は出展社数が117社(前回219社)、ブース数が257カ所(同456カ所)に減少したことに加え、「会場が広すぎるとコロナ対策に必要なエリアが広くなるので、ある程度コンパクトにする必要があった」(運営事務局・鶴巻泰介チーフディレクター)とのこと。場内の通路は、例年より50cmほど広い約4mに拡張。フードコートは飲食店の規模を縮小し、二人掛けの飲食用長机の中央部は、すべて飛沫防止シートで仕切られた。
出展社の感染防止対策
運営事務局は、出展社に向けて感染対策のガイドラインを作成。スタッフのマスクやゴム手袋の着用、消毒液の設置などを義務づけた。加えて、独自に対策を強化する出展社が多く、来場者との会話が多い受付スタッフの前にアクリル板を設けたり、マスクとフェースシールドを併用したりする姿も目立った。試打ブースではグローブのレンタルを行わない出展社が多く、素手のまま試打をする来場者が多かった。
リアルとオンラインの融合
今年は従来の場内展示のほか、インターネットを介してイベントを体感できるオンライン展示会が試みられた。感染を危惧して来場を控えるゴルフファンに向けたもので、企業にとっては事業内容や商品を紹介できる場となるが、オンラインに不慣れな一部の企業からは戸惑いの声も上がっていたという。
「世の中の傾向として、今後は情報のオンライン化を定着させていかざるを得ないと思っています。今回をスタートラインとして、主催者として何の準備が整わなかったのか、出展社のニーズにどのようなものがあるかなどを検討し、オンラインの可能性を広げていきたい。オンラインの先にあるゴルフファンに対して何を提供すべきなのか、ということも今後の研究課題だと思います」(鶴巻さん)。ゴルフファンが安心して楽しめ、すべての企業が恩恵を受けられるイベントを目指し、今後もリアルとオンラインを両輪とした「新様式のゴルフフェア」への模索を続けていく。(編集部・塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。