21歳で海外ツアー初優勝 久常涼の「人生で一番良かったくらいのショット」
◇欧州男子◇カズーオープンdeフランス 最終日(24日)◇ル・ゴルフ・ナショナル(フランス)◇7247yd(パー71)
青木功、松山英樹に続くDPワールドツアー(欧州男子ツアー)日本勢優勝者のリストに、久常涼がその名を刻んだ。今月9日に21歳になったばかり。プロ転向から実質3年目のシーズンにして、国内外を通じた初勝利に「すごくうれしいです。こんなに優勝ってうれしいんだと感じています」と感激した。
首位と4打差の5位から出た最終日は前半4番でボギーが先行。8番(パー3)で2つ目をたたき、6ストローク差に広がったところから猛チャージが始まった。
6mを沈めた折り返しの9番(パー5)から13番までの5ホールで4バーディ。「優勝は意識せずプレーしていたら、いつの間にか差が縮まっていて逆転した。自分のプレーに集中していました」と無欲のままタイトル争いへ。2打目をピンそば3mにつけてバーディにした15番でリーダーになった。
2024年の「パリ五輪」の会場にも選ばれている欧州の名門、ル・ゴルフ・ナショナルは終盤にタフなホールが続く。後続を1打リードして迎えた17番、「自分の人生で一番良かったくらいの良いショット」が出た。残り170ydあまりの第2打を7Iでピンそば2mにピタリ。「良い位置で(最終日を)迎えて、自分のプレーを後半にしっかり出せて良い結果になったのかなって。びっくりです」と大逆転を喜んだ。
A shot worthy of the club twirl 😍
— DP World Tour (@DPWorldTour) 2023年9月24日
Ryo Hisatsune sets up birdie to go 2⃣ clear at the top!#CazooOpenDeFrance pic.twitter.com/UYIJkHCyZN
プロ1年目の2021年、国内の下部ABEMAツアーで年間3勝を挙げて、すぐさまレギュラーツアーに昇格。翌22年は9月までにトップ10に6回入り、初優勝が待たれたシーズンの終盤に差し掛かったところで、「やっぱり(いずれは)こっちの舞台でプレーしたいとすごく思っていた」と予選会を通過して即座に海の向こうに主戦場を移した。
DPワールドツアーの大会は欧州大陸だけでなく、アフリカ、アジア、オーストラリアでも開催される。コース外での苦労も多く、今大会直前も前週日曜日(17日)に出発・到着予定だったロンドンからの飛行機が遅れ、パリに入ったのは開幕2日前の火曜日(19日)未明だった。調整不足を呼ぶトラブルにも動じず「もう開き直って、『良いオフになった』と思い込めたのが良かったんじゃないのかなと思います」と振り返るほど、タフになった。
今季の年間ポイントレース(レース・トゥ・ドバイ)上位10人(有資格者を除く)にはPGAツアーの2024年の出場資格が付与される。久常は37位だったランクを11位に上げ、次の夢に大きく近づいた。「やっぱり僕も最後に目指すべきところはそこになる。残りがもう数試合あるので、しっかり頑張って、その資格を取って、来年はPGAツアーでプレーできるのがベスト。それを目指して頑張っていきたいと思います」。パリで勇ましく踏み出した一歩は、もっと大きな世界につながっている。(編集部・桂川洋一)