2022年 全米オープン

「全米オープン」で知っておくべき5つのこと

2022/06/15 17:08
タイトル防衛に挑むジョン・ラーム※写真は2021年「全米オープン」(John Mummert/USGA)

DPワールドツアー2022年シーズンにおけるメジャー第3戦である第122回「全米オープン」は、34年ぶりに米マサチューセッツ州ブルックラインのザ・カントリークラブが舞台。同大会について知っておくべき5つのポイントは次の通り。

ラームの防衛戦

前年大会は、ジョン・ラームがトーリーパインズでの上がり2ホールで連続バーディを奪い、最終ラウンドを「67」としてメジャー初制覇を果たした。

この勝利により、初めて全米オープンを制したスペイン人選手となったラームは、偉大なる故セベ・バレステロス、さらにホセ・マリア・オラサバル、そしてセルヒオ・ガルシアに続く4人目のスペイン人メジャー王者となった。

歴史上、7人の選手が全米オープンの連覇を達成しているが、第2次世界大戦以降ではベン・ホーガン(1950、51年)、カーティス・ストレンジ(1988、89年)、そしてブルックス・ケプカ(2017、18年)の3人だけ。

27歳のラームは5月初旬に開催された米PGAツアー「メキシコオープン」でプロ14勝目を挙げており、5月の「全米プロゴルフ選手権」以降で唯一出場した「ザ・メモリアルトーナメント」では、トップ10入りを果たしている。

フィッツパトリックにとっては馴染み深いコース

マシュー・フィッツパトリック※写真は2020年「DPワールド ツアー選手権」(Andrew Redington/Getty Images)

マシュー・フィッツパトリック(イングランド)は、前週開催された米PGAツアー「カナディアンオープン」でトップ10入りを果たすなど、好調を維持しており、自信満々でメジャー初制覇を目指してブルックラインに入る。

フィッツパトリックはザ・カントリークラブに素晴らしい思い出を持っている。2013年に同コースで開催された「全米アマチュア選手権」で36ホールに渡るプレーオフの末、オリバー・ゴス(オーストラリア)を下し、イングランド人選手としては1911年以来となる制覇を果たしたのである。

現在27歳のフィッツパトリックは、DPワールドツアーで7勝を挙げているが、「オメガヨーロピアンマスターズ」(2017、18年/スイス・クランスシュルシエレGC)、そして「DPワールドツアー選手権」(2016、20年/UAE・ジュメイラ・ゴルフエステーツ)では、それぞれ同じコースで2勝を挙げている。

優勝争いを繰り広げた5月「全米プロゴルフ選手権」では最終日に最終組でプレーして最終的に5位と、メジャーにおける大躍進を果たしているだけに、今週はフィッツパトリックがキャリア最大の勝利を収めることになるかもしれない。

歴史はプレーオフを示唆

1988年「全米オープン」を制したカーティス・ストレンジ(John Biever/Sports Illustrated/Getty Images)

ザ・カントリークラブは、“ブルックラインの死闘”として知られる1999年「ライダーカップ」の開催地として有名だ。同大会では、4ポイントを追う状況で最終日のシングルスを迎えた米国代表が逆転でトロフィーを奪還している。

マサチューセッツ州のコースで「全米オープン」が開催されるのは今回が4回目。これまで同コースでは、1913年、1963年、そして1988年に男子メジャーで2番目に長い歴史を持つこの大会が開催されている。

そして、過去3大会はいずれも、プレーオフで勝者が決まっている。

1913年大会では、米国のフランシス・ウィメットが18ホールのプレーオフで、いずれも英国のハリー・バードン、テッド・レイを下し、初めてこの大会を制覇したアマチュア選手となった。その後、1963年にはジュリアス・ボロスがアーノルド・パーマーとジャッキー・キューピトをプレーオフで退けて大会2勝目を挙げた。1988年にはカーティス・ストレンジニック・ファルドを撃破した。

メジャーシーンでまた若さが経験に勝るのか

29歳のトーマス(右)、マキロイは33歳※写真は2022年「ザ・プレーヤーズ選手権」(Sam Greenwood/Getty Images)

5月の「全米プロゴルフ選手権」では、ジャスティン・トーマスウィル・ザラトリスをプレーオフで退けて優勝を果たしたことで、メジャーにおける30歳未満の選手による勝利というトレンドが継続された。

昨年この大会を制したラーム以降、メジャー4大会はすべて20代の選手が勝っており、シェーン・ローリー(アイルランド)が優勝したスコットランド・ロイヤルポートラッシュでの「全英オープン」以降のメジャーでは、9大会中7大会で20代の選手がトロフィーを掲げている。

現在の世界ゴルフランキングのトップ10で、30歳以上の選手は、メジャー4勝を誇り、前週の「カナディアンオープン」でタイトルを防衛したロリー・マキロイ(北アイルランド)ただ一人となっている。

果たして今週はまたも若さが勝るのか、あるいは経験が上回るのか?

大会デビュー組

今週は様々なルートから大会への道のりを切り開いた8人のDPワールドツアーメンバーが、「全米オープン」デビューを果たすことになる。

今月の「ポルシェヨーロピアンオープン」でツアー初制覇を遂げたカル・サモーア(フィンランド)、さらにウィル・ベセリン(オランダ)、ヤニク・パウル(ドイツ)、リチャード・マンセル(イングランド)、そしてマルセル・シュナイダー(ドイツ)は、156人の選手が参加し、4大会で行われた欧州予選会シリーズでトップ10入りを果たしたことで、「全米オープン」の出場権を手にした。

この5人以外では、シーマス・パワー(アイルランド)とミンウ・リー(オーストラリア)が5月23日付の世界ゴルフランキングでトップ60入りしたことで、今年のメジャー第3戦のフィールド入りの権利を手にし、大会デビューを果たすこととなった。

さらには、かつてのチャレンジツアー昇格組であるショーン・クロッカーもまた、大会デビューを飾る一人である。25歳の米国人選手は、テキサス州ダラスのリバーオークスとレイクウッドCCでの最終予選会で11アンダーをマークし、初めて「全米オープン」行きのチケットを手にした。

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