大規模改修されたウェントワースクラブ・ウェストコース
注目のロレックスシリーズ初戦、「BMW PGA選手権」の開幕を直前に控え、europeantour.comはリニューアルしたウェントワースクラブ・ウェストコースの内側を徹底調査した。
ロンドン中心部から1時間以内の場所に位置するウェントワースは、城郭風のツタに覆われた白亜のクラブハウスを持ち、青々としたフェアウェイが地元固有の森林を形成する松、樫、そして樺の木々に囲まれ、長年にわたり世界最高峰のゴルフ&カントリークラブのひとつとして高い評価を得てきた。
しかし、今週この歴史的な大会は、2016年大会後、約1年間をかけて行われた大規模な改修を経て、新たに設計し直されたこのサリー州のレイアウトで初めて開催される。
第37回「BMW PGA選手権」を開催するウェストコースの改修にあたり、ヨーロピアンツアーの選手たちによる意見を取りまとめたトーマス・ビヨーンとポール・マッギンリー、そしてウェントワースのコース管理責任者であるケニー・マッケイがアドバイザーとなり、アーニー・エルス設計事務所とヨーロピアンゴルフデザイン社がコースデザインを手掛けた。
改修工事はイングランドのクリス・ウッドが昨年大会を制した8日後に始まり、先月になってようやく選手たちが新しいレイアウトでプレーできる運びとなったが、これまでプロやメンバーからは大好評を博しており、今週の大会へ向け期待は高まる一方だ。
「これは長年にわたり大きなイベントとして君臨している」と述べたのはイアン・ポールター。「この大会はツアーの我が家なんだ。子供の頃にここへ来て、この素晴らしいコースでセベ(ベレステロス)やウージー(イアン・ウーズナム)や(ニック)ファルド、それにオリー(ホセ・マリア・オラサバル)やその他の選手たちがプレーする姿を見たことはよく覚えているよ」。
「誰もがウェントワースを知っているし、僕らが毎年プレーするコースのなかで最高のコースのひとつと呼ぶにふさわしいんだ。従って、コースの改修は極めて重大な決断だった。僕はその決断をとても嬉しく思っているし、あのコースでプレーすることに興奮している」。
グリーン
パッティング面の外観と純度を高めるべく、全てのグリーンは全面的に新しいベント芝に張り替えられた。
8番、11番、14番、そして16番の4ホールはグリーンが完全に再形成され、3番、4番、5番、12番、そして15番の5ホールはグリーンが部分的に再造成された。また、全てのグリーンにサブエアーシステムが導入され、より速くより硬いグリーンが実現したほか、最新の灌漑及び排水システムも導入されている。
「1番のグリーンを歩くや否や衝撃を受けた」と語ったディフェンディングチャンピオンのウッド。「グリーンに(ピッチ)マークがひとつもなかったんだ。何週間か前にここでプレーしたときも、自分たちのピッチマークすら残らなかった。全然違うんだ。サブエアーが機能している音を聞くことが出来るよ」。
「選手にとって最も重要な変更はグリーンだと思う。僕らは、英国のこの時期に完璧なグリーンを作り出す難しさを知っているけれど、ウェントワースはできる限りのことをして、その完璧なグリーンを今週のために作り出したようだね」。
バンカー
今回の改修では、大規模なグリーンの作業に加え、全バンカーも再設計と再造成されるなか、コース設計者のハリー・コルトが設計当初に描いていた姿にコースを近づけつつ、現代ゴルフのニーズを満たすため、29個のバンカーが完全に取り除かれた。
「取り除かれたバンカーの数は、大きな変更となっている」とウッド。「コースは1ラウンドあたり1、2打簡単になっているのが分かる。1打はグリーン、1打はなくなったバンカーのため、ということだね。天候次第だけど、昨年9アンダーだった僕の優勝スコアも、今年は15アンダーくらいになるんじゃないかな」。
ウェストコースは近年、極度に罰せられるバンカリングで悪評を得ていたが、2016年「マスターズ」王者のダニー・ウィレットは、委員会が「浅くすべきだったバンカーを浅くしたことで良い仕事をした」とも述べている。
ウェントワースの風
渦巻いたり、突風になったりと、めまぐるしく変わる風は、時に助けとなり、時に妨げとなり、時に悩みの種となる。ウェントワースは、ほぼ絶え間なくコースに立ち並ぶ数々の木々の合間を吹き抜ける予測の難しい風で知られる。今週も、これまで通り、風はフラッグシップイベントのフィールドに大会特有の試練を与える上で、大きな役割を担うことになる。
「思っていたのと違う後方から吹くこともしばしばあるし、かなり渦巻いているから、常にトリッキーだし、どこから吹いているのかという判断は、自分の知識と経験を信頼し、自分の信念を貫かなければならないんだ」と語るのは「BMW PGA選手権」2勝のルーク・ドナルドだ。
鍵となるスタッツ
- ウェストコースはパー72で、今週は7,267ヤードでのプレーとなる。昨年はヨーロピアンツアーのレギュラー大会で6番目に難しいコースだった。
- ウェントワースは、過去6年で5回、ボギー以上の回数でツアーの上位20パーセントにランクインしている。
- このレイアウトは終盤が特に有名で、ウェストコースはヨーロピアンツアーのコースでは、上がり3ホールで最もパーの少ないコースである。この3ホールの現実的なスコアは3アンダーから3オーバーまで大きな開きがある。
- 昨年、ヨーロピアンツアーのレギュラー大会で使用されたコースで、統計的にウェントワースよりパー4のホールが難しかったのはバルデラマのみである。
- 2011年以降、4つあるパー3のホールのうち、3ホールではホールインワンがでている(6番ホールのみ出ていない)。
- 最も難度が高いのは、平均スコア4.35の15番(パー4)。
- 最も難度が低いのは、平均スコア4.43の4番(パー5)であり、その平均スコアは15番とあまり変わらない。