欧州男子ツアー

サミ・バリマキ 飛躍の一年を振り返る/後編

2021/01/05 17:32

メジャーデビュー

サミ・バリマキ(Ross Kinnaird/Getty Images)

初めて開催されたUKスイングでの2位フィニッシュでメジャー初出場を決めたサミ・バリマキは、2020年「全米オープン」が開催されるウィングドフットGCへと向かった。

ブログには「メジャー出場は僕の大きな目標でしたが、ここまで早く実現するとは思っていませんでした」と綴った。「全米オープンへは予選会からの出場、あるいは全米プロゴルフ選手権への出場を狙っていましたが、新型コロナウイルスにより、これらのプランは大きな変更を余儀なくされました。UKスイングでプレーし始めた時点では、メジャーへの出場は全く念頭にありませんでしたが、ケルティッククラシック、そしてISPSハンダウェールズオープンと、ウェールズでの2週間でとても良いプレーができたことで出場権を得ることができたので、初のメジャー出場権獲得は大きなボーナスでした」

初のメジャーはタフな1週間ではあったが、良い学びの場となった。

「ウィングドフットは格別でした」とバリマキ。「とてもタフでしたね。良いプレーができなかったので、良い1週間だったとは言い切れませんが、あの週からは多くを学びましたし、次回はもっと良いプレーができると思います」

「もっと準備をしなければならないことを学びましたし、もう少し既成概念にとらわれない考え方をすべきだったかもしれません。精神的に難しく考え過ぎていたのだと思いますので、次に出場した際、悪いショットを打った時は、もっと自分に優しくできると思います」

シーズン終了まで安定感を持続

バリマキ自身がサー・ヘンリー・コットン年間最優秀新人賞を狙えると意識したのは、シーズンが最終盤に入ってのことだったが、彼はその期間の大会を通して今季最も安定したゴルフを披露した。

「最後の数戦で良いプレーができれば、(新人王の)チャンスはあるかもしれないと思っていましたし、それがモチベーションの源となっていました」とバリマキ。「それは年頭の主な目標ではありませんでしたが、シーズン終盤の数試合はかなり意識していました」

バリマキは「BMW PGA選手権」で13位タイに入ると、「アフロディーテヒルズ キプロスオープン」でトップ10入りを果たし、続く「アフロディーテヒルズ キプロスショーダウン」で18位タイ。シーズン最終戦の前週に開催された「ゴルフインドバイ選手権」で13位タイに入って、「レース・トゥ・ドバイ」ランキングを18位としてシーズン最終戦を迎えた。

堂々たるシーズン最終戦

新人王争いがシーズン最終戦でクライマックスを迎えるなか、バリマキがラスムス・ホイゴーコリン・モリカワといったライバルに競り勝って賞を手にするには、同大会での好成績が必要とされていた。

彼は初日から印象深いプレーを披露し、パー5の18番をチップインイーグルで締めるなど、オープニングラウンドで「69」をマークした。

「初日の18番で打ったショットは、おそらく今季のベストショットだったと思います。残り142mを8番アイアンで打ったのですが、完全にピン筋にいってましたね。2度バウンドするのが見え、その後、18番グリーンの奥にいた小さい一団の人たちが『入れ、入れ』と叫び始めるのが聞こえると、歓声が上がりました。あれはとても良い心持ちがしました」

22歳は、その後の3ラウンドも立て続けに「69」をマークし、「DPワールドツアー選手権」を制覇したマシュー・フィッツパトリックと3打差の5位で大会を終え、「レース・トゥ・ドバイ」ランキングを11位に上げてシーズンを終えた。

「あのコースはかなり気に入りました」とバリマキは振り返り、シーズン最終戦で好成績を残せたことが大きな自信に繋がったことを認めた。

「自分自身のゲームもかなりソリッドでしたし、最大の大会で世界最高の選手たちを相手に、自分も良いプレーができると分かったことは、かなり大きな自信になりました」

フィンランド人初の新人王

素晴らしい形でシーズンを締めくくり、「レース・トゥ・ドバイ」を好順位で終えたものの、2020年の新人王を選出する状況は、また異なる様相を呈していたため、バリマキは受賞に十分な成績を残せたかどうか定かでないまま、ドバイを後にしなければならなかった。

「難しい選考でしたし、コリンとラスムスも候補に挙がっているのは知っていましたから、誰が選ばれるのか、僕には分かりませんでした。ただ、自分が選ばれることを願っていました」

委員会により自分が選出されたことを、バリマキはフィンランドへ帰る途中で知ることとなった。

「僕らは午前1時にドバイを立ち、確かフランクフルトかヘルシンキの空港でそれを知りました。フィンランド人選手として初の受賞であり、これまで受賞してきた素晴らしい選手たちの仲間入りを果たすことができて、とても嬉しかった」

「これがフィンランドゴルフ界の機会拡大の契機になればと思いますし、フィンランド出身でもいきなりツアー初年度から良いプレーヤーになれることの証明になればと思います」

この先サミ・バリマキには何が待っているのか? 彼は現在、公式世界ゴルフランキングを69位に上げており、大きな目標を掲げるなか、物事が順調に進むことを願っている。

彼は「将来については、大きな目標がいくつもあります」とプレーヤーブログに綴っている。「最高の選手になりたいです。今は、もっとメジャーや大きな大会に出場できるよう、できる限り早く世界ゴルフランキングでトップ50に入ることを目指しています。これはかなり難しいことではありますが、僕の目標はそうした大会で勝つことです。また、アマチュア時代はチームイベントも楽しみましたので、ライダーカップは自分にとって大きな目標です。何とかして出場したいですし、欧州代表で初めてプレーするフィンランド人選手となれたら素敵ですね」