【藤田寛之専属キャディ・梅原敦の全米OPレポート2013<1>】
藤田寛之プロのキャディの梅原敦です。4月のマスターズに引き続き、今回の「全米オープン」でもレポートを書かせて頂ける事になりました。出来るだけ皆様にその日の現場の臨場感を、熱が冷めないうちにお伝えしていきたいなと思っていますので、良かったら最後までお付き合い下さい。
さて、今年の全米オープンですが、舞台はニューヨークから車で南へ2時間ほど下ったペンシルバニア州にあるメリオンゴルフクラブで行われます。このコースの最初の特徴はピンフラッグが旗ではなく、丸いボール状に編み込まれた赤いバスケットが付けられているところです。大会のロゴマークにもこの“ウィッカーバスケット”の絵が入っているので、まさにコースのシンボルとも言えるでしょう。
藤田さんが日本で行われた全米オープン予選に挑戦した時から、このピンを絶対に見たいと思っていたので、実際にこの目で見てバスケットに触れた時には凄く感動しました。選手やキャディは試合中、フラッグの揺れ具合を見て、風向きや強さを判断する事があるんだけど、このコースに限ってはそれはまず出来なそうですね。
でもメリオンは、リンクスと同じような吹きさらしになるホールが多いので、ピンフラッグが無いからと言って、そこまで風向きの判断に困るような事は少ないと思いますよ。
さて、今年のコースセッティングや見所をお伝えする前に、これだけは皆様に言っておかなければいけない事があるんです。実は藤田さんはまだ1度もコース内に入っていません。
4月のマスターズ明けからほぼ毎日動き続け、先週のオープンウィークも休む暇もなくお仕事をされていたので、全く疲れを取る事が出来ず、渡米前にとうとう熱を出してしまったんです。こっち来てから症状は余計に悪化し、クラブを1度も握る事なく今日に至ります。それに加えて、こちらの天気はほぼ毎日大荒れで、コースは度々クローズになる始末・・・。
唯一晴れ間が出た昨日は、僕だけはコースチェックに行けたんだけど、藤田さんはずっと部屋で休まれていました。この難コースで、このコンディション。始まる前から言い訳なんてしたくないけど、正直状況は厳し過ぎるぐらい厳しいです。
ティショットからセカンドショットにかけて、ブラインドになり、落ち際が見えないホールが約半分を占めるこの18ホールで、コースを知らない事は致命傷でしょう。
ただね。だからと言って簡単には帰らないですからね。藤田さんが6割の力で振れるようにさえなれば、あとは僕の準備次第・・・。例え藤田さんがコースを全く知らないまま出なきゃいけない事になっても、僕には藤田さんが打ちたい場所と持ちたいクラブがわかるから。だてに15年も藤田さんのバッグを担がせてもらってわけじゃないですからね。
コースチェックだけは抜かりなくやるけど、藤田さんの1日でも早い回復を祈りたいですね。