平成から令和へ―― 安田祐香が牽引する新時代
◇女子アマチュア競技◇アジアパシフィック女子アマチュア選手権 最終日(28日)◇ザ・ロイヤルGC(茨城県)◇6431yd(パー72)
最後までプレッシャーは感じなかったという。2打差の首位から出た安田祐香(大手前大1年)が、母国ファンの前でこの日ベストの「65」を叩き出して、2位に8打差(通算11アンダー)をつける圧巻のパフォーマンス。「最後のパットは緊張しました」という1m弱のウィニングパットもきっちり沈めて、最終日はノーボギーでアジア女子アマNo.1に輝いた。
スタート前は万全とはいえなかった。練習場でティアップする際も腰をかばうようにひざを曲げ、フィニッシュで手を放す場面もしばしばだった。「朝、練習したときは(腰が)すごく痛くて。でも、今日1日頑張ろうと思った」と安田は言う。2位との差はわずかに2打。だが、その不安も怒涛の3連続バーディ発進であっという間に吹き飛ばした。
「試合が始まったらそんなに痛みは感じなかった。ショットも良くなっていたので良かったです」。1番で1.5m、2番で3m、3番(パー5)は6m。同組のアタヤ・ティティクル(タイ)は安田の勢いに飲まれるように、2番でバーディチャンスから3パットのボギーとした。前半が終わった時点で2位とは7打差。「差があればあるほど、楽にできる」と、後半に入ってもまったく隙は見せなかった。
平成最後の出場大会で、アジアのトップアマたちをねじ伏せた。だが、「自信にはなったけど、(ティティクルは)ティショットでドローとフェードを打ち分けているのがすごいと思った。ミスパットも少ないし、ぜったいカップを通り越していた。きょう勝てたのは嬉しいけど、自分には足りていない部分がたくさんあった」と、目指す世界はより高みにある。
将来的には米女子ツアーフル参戦を志すが、まずは国内で基礎固めをするつもりだ。今大会の優勝で得た海外メジャー2大会(「エビアン選手権」と「AIG全英女子オープン」)の出場権も、世界最高峰の舞台で自分の立ち位置を確認する貴重な経験となるはずだ。
安田の父・光祐(みつひろ)さんは、娘の将来についてこう期待する。「全体としてゴルフ人気が盛り上がる中心にいてくれたら。(2000年生まれの通称)“プラチナ世代”の選手たちは仲がいい。よいライバル、よい友達でありつつ、物語的にゴルフ界を盛り上げてほしい――」。
その輪の中にいるのは、けっして日本人選手だけではない。グローバルな新時代を象徴するように、安田を祝福するウォーターシャワーにはタイの選手も、韓国の選手も加わっていた。3日後には令和時代が幕を開ける。「成長する時代にしたい」と、可能性に満ちあふれた18歳は大きな瞳を輝かせた。(茨城県鉾田市/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka