日本人選手も“渡り鳥”に? 国内男子ツアー開幕前に世界のどこかで誰かが活躍
◇アジアン&豪州ツアー共催◇ニュージーランドオープンby SKY SPORT 3日目(4日)◇ミルブルックリゾート(ニュージーランド)◇コロネットコース(6964yd/パー71)
日本の選手たちが、次々と海外に羽ばたいている。
2023年に入ってからというもの、PGAツアー、米下部コーンフェリーツアー、DPワールドツアー(欧州ツアー)、アジアンツアーなど、毎週のように世界のどこかで、日本人選手が試合に出場。先月は金谷拓実がアジアンツアー「インターナショナルシリーズ オマーン」で優勝。欧州では久常涼や比嘉一貴が優勝争いに絡んだ。かつてはオーストラリア選手などが、自国ツアーから飛び出て世界を転々し、“渡り鳥プロ”などと呼ばれていたが、今は日本人選手たちがまさに渡り鳥化してきたといえる。
今週のアジアンツアーとオーストラリアの共催試合にも、実に17人の日本人選手が出場。そのうちの浅地洋佑は、日本のツアー(JGTO)枠ではなくシードを持つアジアンツアー枠で出ている。今回はJGTO枠で出場の木下稜介、大岩龍一、竹安俊也らもアジアのシードがあり、このあとも積極的に試合に出る予定だという。
今大会予選落ちとなった桂川有人は、コーンフェリーツアーが主戦場のため、今年すでにハワイ、パナマ、コロンビア、ニュージーランドと各地を転戦。このあと米ジョージア州、続いてチリでの試合を予定している。「飛行機移動が長い上にトレーナーさんもなかなか連れていけないので、体のケアが追いつかないことも多いんです。そうなると得意なショットも調整が難しかったりして、(スイングも)今までズレなかったのがズレることも…」と海外転戦の難しさを吐露した。予選落ち後、すぐに飛行機の予定を変え、土曜日には帰国の途に。すでに旅慣れしている様子がうかがえる。
同じく若手の米澤蓮もたった一人で世界を転戦中だ。「推薦をもらって先週までオーストラリアの試合に連続で出ていました」とすでに今年4試合目。「先週の試合会場は本当に周りに何もないところで、一番近いスーパーまでウーバー(配車サービス)で片道150ドル(約2万円)ですよ。しかも帰りの車がつかまらず、2時間半、スーパー前で待ちぼうけをくらい、買った肉などの食材が腐っちゃって…、高い買い物でした(笑)」とトラブルも笑い話にするあたりはなんともたくましい。来週は「ニュージーランドチャンピオンシップ」に出場する。
大会5回目の出場となった堀川未来夢は後輩プロたちが次々と世界に羽ばたいていくのを間近で見て、「日本ツアーとしては全員がそっちに行くと寂しい面もありますが、でも若手が外に行って活躍するのはいいことだと思います。(試合の)選択肢があるということが良くて、それしか出られないで出るのと、試合を選んで出るのとでは大違い」と、彼自身も国内ツアーに支障がない範囲で海外には挑戦する予定だという。
かつては、国内男子ツアー開幕までの1~3月といえば、プロは“オフトレ”の時期で、国内外で合宿を行うのが恒例だった。だが、今は積極的に海外の試合に出る選手が増え、すでにオフという概念がなく、今月末の開幕時点で“仕上がっている”プロも多いことだろう。きょうも世界のどこかで日本人選手が戦っている。(ニュージーランド・クイーンズタウン/服部謙二郎)