「昼食よりコースで」 世界各国歴代トップたちのゴルフ外交

2017/02/12 12:31

「ゴルフは相手がよく分かる」

日米首脳会談の翌日に1.5ラウンドの「ゴルフ外交」を行ったトランプ米大統領と安倍首相(Mario Tama/Getty Images)

安倍晋三首相とドナルド・トランプ米大統領は11日(日本時間12日)、米フロリダ州パームビーチのトランプナショナルGCジュピターで18ホール、その後トランプインターナショナルGCウェストパームビーチに移動してハーフラウンドをともにした。大統領選後にゴルフクラブを贈って歓迎した安倍首相をトランプ大統領が今回、「一緒に昼食を取るよりゴルフコースを回った方が相手をよく分かるようになる」と自慢のコースに誘った格好で、アーニー・エルスも同伴した。注目のラウンドになったが、各国のトップによる「ゴルフ外交」は今に始まったことではない。(※文中の役職名は当時もの)

■ 安倍首相の祖父は米大統領とマッチプレー

安倍首相は訪米前に、「目の前でホールを外して悔しがるアイゼンハワーの姿を見て、2人の距離は急速に縮まった」と、祖父でもある岸信介首相から聞いた話を披露した。岸首相は1957年4月に、アイゼンハワー米大統領と米ワシントン郊外のバーニング・ツリー・カントリークラブでともにラウンドしている。

岸首相はのちの大統領のジョージ・H・W・ブッシュの父で政治家のプレスコット・ブッシュとペアを組む。アイゼンハワー大統領は、通訳で随行した松本瀧藏とペアを組み、マッチプレー形式を楽しんだ(※1)。第2次世界大戦後の日米の友好関係を構築するエピソードとして用いられることも多い。

■ オーガスタでトップ会談

アイゼンハワー大統領は大のゴルフ好きとして知られた。岸首相と「ゴルフ外交」前年の56年12月、カナダのルイ・サンローラン首相を自身がメンバーのオーガスタナショナルGCに招いている。また、同GCの10番ティ近くに設けられた一軒家のアイゼンハワーキャビンには執務室があり、ゴルフ場が政治活動の場にもなっていた。

■ リンクスで語り合った日英首相

1973年9月30日、田中角栄首相は訪問先のイギリスのエドワード・ヒース首相、北アイルランドのウィリアム・ホワイトロー国務長官と、全英オープンの開催コースでもあるロイヤル・セント・ジョージスGCで親交を深めた。ヒース首相のジョークに田中首相が笑顔を見せている写真が残っている。

ゴルフ場で談笑する田中首相(写真中央)とイギリスのヒース首相(写真左)、北アイルランドのホワイトロー国務長官(Ian Tyas/Keystone/Getty Images)

■ 協定締結は午後11時45分スタートから

2000年11月15日、ブルネイでのAPEC首脳会議の晩餐会の後にビル・クリントン米大統領とシンガポールのゴー・チョクトン首相のプレーが予約されていた。両国の自由貿易協定をめぐる交渉の場としていた。

当日は豪雨に見舞われ、ゴルフの予約を取り消すか問われたゴー首相は「取り消すな」と答えた。スタートは遅れて2人がティオフしたのは、なんと午後11時45分。午前2時ごろまでプレーしたとしている(※2)。

また、2人はお互い大統領、首相退任後の2005年にも、シンガポールのオーキッド・カントリークラブにゴルフを楽しんでいる。

■ 常夏のハワイはゴルフ外交にうってつけ?

バラク・オバマ米大統領も「ゴルフ外交」を積極的に行った一人だ。2014年1月に生まれ故郷のハワイで、ニュージーランドのジョン・キー首相とともにプレー。当時、両国は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉参加国で、現地メディアは、両者が通商分野や安全保障分野での協力を確認したと報じた。

同年12月には、マレーシアのナジブ・ラザク首相ともハワイでプレー。この時にマレーシアの東南部で大規模な洪水被害があったため「政府の対応が遅い。(首相は)ハワイでゴルフをしている」と批判されたラザク首相は「これは外交のためだった」と釈明した。

■ ゴルフでリラックス 英仏伊のトップラウンド

第一次世界大戦終戦後の1922年1月。フランスで開かれた連合国によるカンヌ会議の期間に、リラックスデーとして、イギリスのロイド・ジョージ首相、フランスのアリスティード・ブリアン首相、イタリアのイヴァノエ・ボノーミ首相の3人でゴルフを楽しんでいる。

○参考書籍
※1「秘密のファイル CIAの対日工作」(2003年 新潮社/春名幹男著)
※2「経済統合の新世紀 元通商交渉トップの回想と提言」(2015年 東洋経済新報社/畠山襄著)