不動裕理、年間6勝。1億円突破
予想通り不動裕理が激しく追い上げた。藤井かすみもよく踏ん張り、勝負は二人だけのマッチレース展開。最終18番までもつれにもつれた。しかし18番で未勝利の藤井はセカンドを外してあわや池入りのボギー。対して不動はきっちりパー。突き放した不動裕理はこれで年間6勝。賞金獲得額も1億円を突破した。なんとも強い。
不動裕理のアウトはバーディ一つとおとなしかったが、バック9が凄かった。11番で「これは絶対入れたい」という4メートルを決めてバーディ。弾みがついて12番は3メートル、13番2メートル、ひとつ休んで15番では10メートルが転がりこんだ。そして17番、ここでもまた10メートル。
「運としか言いようがないです。あんな長いのが入るなんて。練習でも入らないようなラインです。神がかり的。今日は途中までダメと思ってましたし、何がなんだか分かりません。頭の中が真っ白です」
勝ったことは勝ったが、実感がわかないという。ついでに獲得賞金の1億円突破についても「しょせん数字。実感できるようなものもないので、実感がないです」
年間6勝。しかしまだまだ貪欲に勝ちたい。「現役でプレーしているうちは、これが限度、最高だなんて言えない。可能性はどこまででもある。可能性があるうちは、どこまでも勝ちたい。それにはまず、いいプレーをすることと思ってます」
藤井かすみは4バーディ、2ボギーの70。最終日のスコアとしては決して悪いゴルフではない。しかし相手が強過ぎた。当たった相手が悪かったという展開で、またもや初優勝のチャンスを逃がしてしまった。「悔しいです・・」 涙がボロボロこぼれた。
しかし思い起こしてみれば去年の不動裕理もそうだ。実力があり、優勝争いに絡み続けながらいつになっても勝ちに恵まれなかった。そんな唇を噛みしめるような月日の後に、今年の不動の豊穣の1年がある。「来週から、行けそう?」との記者団の問いに藤井は言葉を発せず、ただ黙って頷き続けていた。