初日からの首位を守り、フォン・シャンシャンが完全優勝!
◇国内女子メジャー◇日本女子オープンゴルフ選手権競技 最終日◇横浜カントリークラブ 西コース(神奈川県)◇6545ヤード(パー72)◇ギャラリー数 10,395人
大型の台風が接近する影響でスタート時刻が早められた「日本女子オープン」最終日。時折雨がパラつくことはあったが、大会は無事フィナーレまでこぎつけた。3日目を終えて首位に立ったのは、フォン・シャンシャン(中国)と木戸愛。しかし、最終日に底力を発揮したのは、世界ランク4位のシャンシャンだった。
1番をボギー発進としたものの、その後3バーディを取り返して通算1アンダーで折り返したシャンシャン。終盤17番で3パットのボギーとして通算イーブンパー、1組前で回る朴仁妃と並んだが、その朴は18番(パー5)で痛恨のボギーを叩く。一方のシャンシャンは1打リードで迎えた18番、3打目をグリーン手前に外し、アプローチも2.5mショート。しかし、このパットをきっちり沈めて1打差で逃げ切った。今年、「ウェグマンズLPGA選手権」を制したシャンシャンだが、同一年に日米のメジャー大会を制するのは、1977年の樋口久子以来の快挙となる。
通算1オーバーの2位は朴仁妃。3位は李知姫、4位は宮里美香。首位タイから出た木戸愛は通算9オーバー24位で終えた。
<フォン、歓声を聞いて初めて知ったメジャー制覇>
ボギースタートにより危うい雰囲気が漂ったのも束の間。その後4番、5番、9番とバーディを重ね、1打差のリードをつける単独首位でサンデーバックナインに折り返した。1打リードのまま迎えた最終18番パー5。3打目はグリーンに届かず手前ラフに入れ、アプローチも3mショート。外せばプレーオフという緊迫した空気に包まれる中、表情やリズムを一切変えることなく、ウィニングパットを真ん中から沈めた。
フォンの優勝を称える、ギャラリースタンドからの大歓声。しかし、フォンの反応は奇妙なものだった。歓声を聞き、まず思ったことは「どうしたの?」。直後、キャディから「たぶん、勝ったんだよ」との言葉を聞き、初めて自身の勝利を知ったという。
聞けば、「ボードはいつも見ない」というフォン。「見ることによって緊張するだけだし、自分にプラスになることは無い。自分のプレーに集中できるから」。今年6月に制した海外女子メジャー「ウェグマンズLPGA選手権」でもボードを見ることなく72ホール目を迎え、「最後のパットを入れてから初めて見た」という徹底ぶり。あの状況で沈められた最後のウィニングパットも、その意識の賜か。
これで日本ツアーの3年シードを獲得。来年も今年と同様に米ツアーを主戦場としながらも、日本ツアーには10試合程度の出場を予定している。日米両ツアーのメジャータイトルを手にし、次なる目標は米ツアーの賞金女王。そして、その先にある世界ランキング1位の座を見据える。昨年の「meijiカップ」で自身初の海外タイトルを手にし、「自信がついたし、次のステージに立てた」と振り返るフォン。そして今週は、こちらも自身初となる4日間首位を守っての完全勝利に「勉強になったし、良い経験になった」と感慨深げ。日米ツアーの経験と勝利が、フォンを着実なる進化へと導いている。