李知姫がプレーオフを制す アン・ソンジュが2年連続賞金女王に
◇国内女子◇大王製紙エリエールレディスオープン最終日◇エリエールゴルフクラブ(香川県)◇6.419ヤード(パー72)◇
李知姫が宋ボベとのプレーオフを制して「ニチレイレディス」に続く今季2勝目をマークした。5アンダーの7位タイから出た李はスコアを4ストローク伸ばして通算9アンダーでホールアウト。プレーオフ1ホール目でバーディを奪って宋を退けた。
1打差の3位タイにはフォン・シャンシャンと藤田幸希。さらに1打差の通算7アンダー5位タイに横峯さくら、上野藍子、北田瑠衣の3人。そして通算6アンダーの8位タイに入ったアン・ソンジュが、次週の今季最終戦「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」を残して2年連続での賞金女王の座についた。
古閑美保は通算5アンダーの11位タイで、米山みどりは通算3アンダーの19位タイでいずれも現役生活にピリオドを打った。有村智恵は1アンダーの30位タイに終わっている。
<李知姫が逆転V!10年ぶりに同大会を制す>
首位で出た藤田幸希がスコアを落とすなど、スタート時には5打あった差が見る見るうちに詰まっていく。前半3つスコアを伸ばして折り返した李知姫は、11番(パー5)でもバーディを奪って通算9アンダー。13番、14番と連続でバーディチャンスを外したが15番のティグラウンドでボードを見ると、自分の名前が一番上にあった。「上が伸ばしているかと思ったら逆に落としていて、まだチャンスはあるんだなと思いました」。
273ヤードと距離の短い16番でバーディを奪ったが、18番(パー5)では12mのバーディパットが順目を気にしすぎて1m以上ショート。3パットのボギーとしてしまう。通算9アンダーでホールアウトした李は、17番、18番で連続バーディを奪った宋ボベに追いつかれ、勝負はプレーオフへ。しかしその1ホール目、同じ18番で8mのバーディパットをねじ込んだ李が、10年前の20回大会に続き、30回という節目の大会でも優勝を飾った。
「私も本当にびっくりですが、優勝できて本当に良かったです」と李。「10年前は親とか周りから“練習しなさい”っていう雰囲気を感じてやっていたけど、今はゴルフが好きで、レベルアップしようと思って練習しています」と、10年前と比較した自身の変化も感じ取っていた。
<「うれしい限りです」アン・ソンジュが2年連続賞金女王>
今大会前に賞金女王獲得の可能性が残されていたのは、アンを含めて4選手。その全員が2連続優勝が必須という厳しい条件となっていた。その中の1人である李が優勝を果たしたが、アンが8位タイに入ったことで次週李が優勝しても逆転が不可能となり、アンの2年連続賞金女王が確定した。
「今日は苦しいプレーでしたが、自分のプレーをすることだけを考えました」というアン。「実は3週間前から眠れないし、食べられない日々が続いていました」とそのプレッシャーを打ち明ける。この日は1バーディ1ボギーという静かなラウンドだったが、きっちりと自らの力でプレッシャーとの戦いに終止符を打った。
<古閑美保、11位タイで有終の美>
最終18番グリーンに上がってくる古閑の目が潤んでいた。大ギャラリーに囲まれたフィニッシングホール。フェアウェイからの3打目は少し引っかかってピン左5mについていた。「ちょっとずつのズレですけど、5mが3mなら入る確率は高くなるし、3mが1mならもっと確率は増える。それくらいのショットが許せないから引退を決めました」。最後は2パットのパーで締め、そのボールはギャラリーの中へと投げ込んだ。
「開放感はすごくあります。あと、やり遂げた感がありますね。プロゴルファーとして、ゴルフで他にやることはないって思います」。完全燃焼の11年間を笑顔と涙で締めくくった。