キム・キョンテが今季初勝利! 池田は1打及ばず
◇国内男子◇フジサンケイクラシック 最終日◇富士桜CC(山梨)◇7,437ヤード(パー71)
通算7アンダーで池田勇太と首位に並んで迎えた、キム・キョンテ(韓国)の最終18番。フェアウェイ右バンカーからの2打目をピン奥4メートルにつけると、これを沈めて決着をつけるバーディフィニッシュ。この日5バーディ、2ボギーの「68」で3打差を逆転したキョンテが、通算8アンダーで今季初勝利、ツアー通算5勝目を飾った。
5打差を追ってスタートした池田も連日の「67」でタイトルに肉薄したが、あと一歩及ばずの通算7アンダー単独2位。通算6アンダーの3位タイに、藤田寛之とプラヤド・マークセン(タイ)。通算5アンダーの単独5位に兼本貴司が続いた。
<キム・キョンテ、26歳の誕生日を自ら祝う今季初勝利>
池田勇太にトップタイで並ばれて迎えた18番。キョンテの第2打のライは左足が砂、右足は芝生、さらにつま先下がりの入ったバンカーショットだった。残りは215ヤード。グリーン右端のピンに対し、左に乗せる手もあった。しかし胸中の選択は最初から決まっていた。「優勝以外は2位でも、何位でも全部同じ。アマチュアの頃から知っている。勇太は(勝負)強い。プレーオフの前に決める」―。
上半身を軟らかく使って放った4番アイアンでの一打。緩やかなフェードボールは、旗をめがけて飛んだ。ピン奥4メートルをとらえるスーパーショット。ウィニングパットはカップのど真ん中からねじ込み、珍しく大きなリアクションで昨年の「セガサミーカップ」以来の日本ツアー5勝目を喜んだ。
米ツアーのシード権獲得を狙った今季。非ツアーメンバーは出場試合数が12試合に限られており、その中で結果を求められる焦りは不調に直結した。一番の悩みはグリーン上での勝負。夏場には母国・韓国に帰り、解析マシンによってパッティングストロークを分析。使い慣れた黒いヘッドのパターも、悩んだあげく4年ぶりにシルバーに替えた。そんな苦悩の中だったからこそ「この優勝は僕にとって本当に意味がある。(2010年に)賞金王もとって、去年までダメな時がなかったから」と言う。今年度の終盤には、いよいよ米ツアーのQTに挑戦することを決意していただけに、弾みをつける一勝となった。
この最終日は26歳の誕生日だった。「今までも試合中に迎えることが多かったけれど、優勝は初めて。一番のバースデーになりました」。息を呑む激闘を勝ち抜いたヒーローは、満面の笑みで復活勝利の味を噛み締めた。