首位は順当にタイガー。日本勢は田中とアマチュア清田が大健闘
ベスページブラックコースは、これまでの全米オープン開催コースの中で最も難しいというのが大会開催前の評価。このベスページを制するべく、初日のリーダーボードに飛び出す選手の名前は、まったく謎に包まれていた。
優勝候補と目されている大物選手の中で最初にリーダーボードを飾ったのは10番からスタートしたフィル・ミケルソン。メジャー初優勝を悲願とするミケルソンだけに、今回こそはという期待がギャラリーの胸を膨らませたが、2アンダーまでスコアを伸ばしたあと、16番でダブルボギー。後半(フロントナイン)は1バーディ、1ボギーとし、イーブンパー70でフィニッシュした。
「昨日の雨でコースもグリーンも柔らかかったが、それでもベスページは最も難しい全米オープンコースだと思う。このコンディションのままでも、優勝スコアはオーバーパーになるかもしれない」。
ミケルソンと入れ替わり、トーナメントリーダーに立ったのはセルヒオ・ガルシア(1番スタート)だ。前半は2バーディ、1ボギー、後半は1バーディで、トータル2アンダーフィニッシュのプレーぶりは見事だった。「風もなかったし、グリーンもややソフトになり、難コースのベスページが最も簡単という状態だったと思う。攻略のキーポイントであるフェアウエイキープがうまくいった」。
午後になって会場を沸かせてくれたのは、やっぱりタイガー・ウッズだった。10番からスタートしたタイガーは、13番、14番で2連続バーディを決め、トップに躍り出た。2アンダーで折り返した後半(フロントナイン)は、2番のバーディで3アンダーまでスコアを伸ばし、人々の歓声がコース一帯に響き渡るほどギャラリーは興奮状態。しかし、6番はボギー。タイガーは昨日の練習中、3Wが折れ、今日は新しい3Wでプレーしていたのだが、7番ではその新しい3Wが壊れたり、カメラマンがシャッターを切ったりのトラブルもあった。しかし、このホールはそれでもパーセーブ。上がりホールの9番でバーディを奪い、トータル3アンダーで初日の首位を守り通した。
初日、人々を驚かせたのは日本のアマチュア、清田太一郎だ。10番からスタートした清田は、難しい前半(バックナイン)を1オーバーで抑え、後半(フロントナイン)に入ると、2番のボギーの直後から3連続バーディを奪う大活躍。この時点で1アンダーとした清田の名前は、タイガーのすぐ下に現れたほどだ。しかし、7番ホールはティショットがラフにつかまり、第4打のバンカーショットはグリーンの奥へ。3パットのトリプルボギーを叩き、2オーバーへ後退。続く8番パー3もボギーで、3オーバーフィニッシュとなったが、「5オーバーが自分のパーだと考えてプレーします」と言っていた清田にとっては、上出来のラウンドとなった。
実際、日本人選手6名の中で、清田の41位タイは田中秀道と並ぶ初日のベストランク。清田も田中も全米オープンは初出場ながら大健闘している。第1打を打つ際、清田は「足も手もガタガタ震えていた」と語ったが、田中は「ティを指す手がちょっと震えているかなと思ったぐらいで、頭の中は冷静でした。楽しめそうな気がしました」と語っていたのが対照的だった。
片山晋呉は3バーディを奪ったものの、ボギーが1つ、ダブルボギーが3つという内容で4オーバー55位タイ。早朝に10番スタートした丸山茂樹はボギーが先行する苦しいラウンドとなり、通算6オーバー96位タイ。8オーバー128位タイの横尾要と10オーバー142位タイの伊沢利光は早くも予選通過が危うい状況になってしまった。
レポート&写真:BEYONDSHIP