2012年 マスターズ

遼、責任と自信を携え4度目のマスターズ

2012/04/05 10:14
石川遼は最後まで入念にコースをチェック。「やるべきことは、やった」

今季の海外メジャー初戦「マスターズ」は5日(木)から4日間、ジョージア州のオーガスタナショナルGCで行われる。初出場した2007年大会から4年連続の出場を果たす石川遼は、数時間後に迫ったティオフを前に、夢舞台に込めた思いを吐露した。

開幕前日の4日(水)、石川は午前中にアウトの9ホールで練習ラウンドを行ったあと、恒例イベントの「パー3コンテスト」に出場。その後は強い日差しを浴びながら、約1時間半ショートゲームを確認した。一時帰国を挟みながらも、約3か月にわたる米国遠征で、真っ黒に日焼けした肌。缶ジュースを勢いよくのどに流し込み、最終調整期間を終えた。

「自分にとっては、一年間待ちに待った瞬間。他の試合とは多少違った気持ちはあります。この週のために練習してきたと言っても、自分の場合は過言ではない。一年のたった4日間のためにピークを持って行きたいと思っていたし、そういう練習を積んできた」

4度目となるオーガスタ行きのチケットは、苦しみの中でつかんだ。昨シーズンは未勝利に終わり、年末の世界ランクは51位とマスターズ出場権獲得圏外で年を越した。そして今年3月末の同50位以内入りを目指して米ツアーで奮闘を続ける中、突然舞い込んだ特別招待の知らせ。複雑な思いがあったが、日本、アジアのプロゴルファーの代表としての責任を背負い込んだ。

もちろん勝負の世界は、努力がそのまま結果に直結するとは限らない。「今までの練習でスコアを確約されるわけではない」。世界最高レベルの争いが行われる場所なら、なおさらだ。だが「できることはやった、というのが自信に繋がる」と話す顔は実に晴れやか。「去年は『もう少し、こうかな…』と考えている状態だったけれど、今年は違う」。スタートを目前にした心境は1年前と確実に異なっている。

ドライバーは1週間前に新調した、シャフトがこれまでよりも0.5インチ短い44.5インチのタイプを使う。「試合では初めて使うクラブになるけれど、不安よりも、このクラブはタイミングが合っているという自信が持てる」と好感触をつかむことができた。

今大会ももちろん若手選手としての注目が集まるが、吸収力豊かな10代のうちに、オーガスタを過去3度戦った経験は、何物にも変えがたい。「攻めたからといって必ず18ホールで“ご褒美”がもらえるかというと、そうでもない。攻めるところ、守るところの判断をしっかりとしたい」。煮えたぎるような熱い思いは胸の奥にしまいこみ、あくまで頭はクールに。20歳の挑戦が、いよいよ始まる。(ジョージア州オーガスタ/桂川洋一)

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