遼、後半に伸ばせず逆転での3連覇を逃す
山梨県の富士桜カントリー倶楽部で行われた国内男子ツアー第13戦「フジサンケイクラシック」最終日。大会前からの降雨によるコンディション不良のため中断、順延が相次ぎ36ホールでの決着となる中、イーブンパーから出た石川遼は最終ラウンドを4バーディ、1ボギー、1ダブルボギーの「70」とし通算1アンダー。優勝した諸藤将次とは5打差の5位タイに終わり、大会史上初の3連覇はならなかった。
逆転での偉業達成を誓い、残りの18ホールを1番からスタートした石川は、出だしでいきなり6メートルを沈めてバーディ発進を決めた。さらに3番(パー5)では左足上がりのフェアウェイからの第2打で、ドライバーを握ってグリーン右手前のラフまで運び、3オン1パットのバーディ。早々に流れをつかんだ。
しかし18ホール中、最高難度を誇る5番パー4。ティショットを右に曲げると、林から5番ウッドでの第2打は、スライスをかけてグリーンを狙ったが、ボールは無情にも左手前の池に落ちた。「レイアップしてパーを取れる易しいピンポジションではなかった。パーからダボか、どっちかという狙いだった」。結局このホールをダブルボギーとし、トップを走った諸藤との差は一時6ストロークにまで拡がってしまった。
6番(パー5)ですぐさまバーディを奪い返すものの、7番以降はなかなかチャンスを作れず、苦しい展開。前日は「後半インで伸ばしたい」と話していたが、イン最初のバーディはティショットをピンそば1.5メートルにつけた16番(パー3)。17番では1.5メートルのバーディチャンスを右に押し出すミスパット。「悔いが残るショット、パットがいくつかあった」とスコアを伸ばせなかったインコースのプレーを悔やんだ。
1998年の「よみうりオープンゴルフトーナメント」以来となる36ホールでの短縮競技となった今大会。この日曜日はお決まりの赤いパンツに身を包み、ハートは戦闘態勢に入っていた。だが肉体とは少なからずギャップもあった。「最終ラウンドで4打差からのスタート、それだけを聞けば違和感は何もない。けれど体は18ホールしかこのコースを経験していない。それがエンジンのかかりを少し遅らせてしまったところはあった。精神状態は最高だったが、体はごまかせなかった。心と体のコントロールに苦しんだ」と唇をかむ。
今季は出場12試合中、6試合でトップ5入り。しかしなかなか1勝が届かない。それでも「こういう経験を重ねることで勝てるし、強くなれると思う」と顔を上げる。「3連覇を目指して一から、また頑張りたい。今までよりは明らかに技術的に上がっている。いつでも勝てるような状態にはなっている」。今季の国内ツアー全25戦もいよいよ折り返し。後半戦での飛躍に自信を見せてコースを後にした。(山梨県富士河口湖町/桂川洋一)