遼、海外ツアー初Vへ首位に1打差2位タイで最終日へ
米オハイオ州ファイヤーストーンCCで行われている世界ゴルフ選手権シリーズの今季第3戦「WGCブリヂストンインビテーショナル」3日目。5アンダーの10位タイからスタートした石川遼が6バーディ、ノーボギーの「64」をマークし通算11アンダーとして、単独首位のアダム・スコット(オーストラリア)に1打差の2位タイに浮上した。7日(日)の最終日は、海外ツアーで初めて最終組でプレーする。
ムービングサタデーの石川は序盤からエンジン全開だった。出だしの1番で9メートルを沈めて幸先よくバーディ発進。2番、3番ではいずれも3メートル前後のチャンスを逃しパーとしたが、ショットへの好感触を抱いたまま迎えた4番では右から8メートルのバーディパットを沈めた。さらに6番ではフェアウェイからの第2打がピン筋に一直線。フィニッシュこそ崩れたが、ピンそば1メートルにつけて3つめのバーディを奪った。
折り返し前の8、9番は我慢のホール。ドライバーでのティショットをいずれも右の林に曲げたが、セカンド以降で好リカバリー。3オン1パットのナイスパーを奪う。すると難所を耐えた石川は「とにかく今日は攻めていって、ミスしたらそのあと考えよう」、「ムービングサタデーに動ける選手(3日目に順位を上げる選手)がアメリカのツアーでもアグレッシブな選手」と後半インに入ってさらに加速した。
10番では第1打を左へ大きく曲げたが、第2打は5番アイアンで低く打ち出すと、ピンそば2.5メートルにつけ、大ピンチを一転させてバーディ。12番(パー3)では3メートルのチャンスをものにし、通算10アンダーまでスコアを伸ばした時点でトップに1打差の単独2位まで浮上する。さらに17番でピン右1.5メートルにつけて6つ目のバーディを奪うと一時はトップに立った。結局、後続のスコットが通算12アンダーとして2位タイとなったが、この日のベストタイのスコアを叩き出した。
しかしラウンド後の石川は「うまくいったが、ショットの内容はうまくいかなかったというのが本音。ティショットのミスをカバーできたのは良かった。ついていたと思う」と、まず息を吐き出した。長いパットが決まり、この日もリカバリーが光ったことに安どの表情を浮かべた。だが、その甲斐あって、逆転優勝のチャンスが生まれたことには確かな喜びと手応えもある。
国内では何度も経験したが、海外では初の最終日最終組でのプレーに「1番ホールのティグラウンドで何を考えるのか、どういう精神状態になるのか分からない。とにかく1番のティグラウンドを、練習場の場所をちょっと移動しただけ、と思うしかない」と自らを必死に落ち着かせるように話した。だがその一方で「他のプレーヤーに失礼が無いように、遠慮したりする気持ちはもう無い。いい精神状態」と一歩も引く気はない。偉業達成へ集まる視線。様々な重圧をパワーに変えて、石川遼のゴルフを18ホール貫いていく。(米オハイオ州アクロン/桂川洋一)