遼、3アンダー13位発進!最終ホールで驚愕のパーセーブ
世界ゴルフ選手権シリーズの今季第3戦「WGCブリヂストンインビテーショナル」が4日(木)、米オハイオ州のファイヤーストーンCCで開幕。2年連続の出場となった石川遼は、4バーディ、1ボギーの「67」で回り3アンダーの13位タイとまずまずのスタートを切った。
トップクラスの選手だけが出場を許される大会で、石川は前半から安定かつ積極的なプレーを続けた。出だしの1番からドライバーでフェアウェイをキープすると、3番で右から8メートルを沈めてバーディを先行。さらに5番(パー3)ではティショットをピン右2メートルにつけて2つ目。6番でも残り160ヤードの第2打を2メートルにつけて連続バーディを奪った。
後半に入っても、パーを並べて好位置をキープ。14番でティショットを左サイドのフェアウェイバンカーに入れ、初のボギーを叩くが、17番では残り109ヤードの第2打を1.5メートルにつけてバーディで取り返す。そして最終ホールは千両役者らしい驚愕のショットで魅せた。
ティショットを左の林に曲げると、残り155ヤードの7番アイアンでの第2打はフライヤーして左サイドのテントの屋根に当たり、ボールはコース内にある民家のガレージに飛び込んでしまった。ガレージは膝の高さ程度の柵に囲まれており、石川のボールはその中のブッシュの真後ろにある最悪の状況。すると、柵(動かせない障害物)を避けるために救済を受け、一端ボールをガレージの外へとドロップ。しかしそのドロップした地点がカート道路だったため、2回目の救済を受けることに。すると石川は再びガレージの中へと戻り、柵の手前の芝の上にドロップし、ピンを狙える状況を作った。
18番グリーンを取り囲む大ギャラリーが息をのむ中、ピンまで55ヤードの第3打。ウェッジでふわりと上げたボールは、柵とグリーン周りの小さな丘を越えてピン奥3メートルにピタリ。大ピンチをチャンスに変え、石川は叫び声のような歓声をあげるギャラリーの間を縫って歩く間、次々と求められるハイタッチに応えた。そしてこのパットを見事に沈めて、奇跡的なパーセーブ。両手で万歳する姿に、2度目の大歓声が降り注いだ。
トラブルを見せ場に変え、周囲を喜ばせた。「ボギーで収めたいと思っていたが、ラッキーなことに良いラインのパーパットが打てた。ついていたと思う」。石川の処置を見守ったPGAツアーのスラッガー・ホワイト競技委員は「とても感心している」とコメント。2006年に同ホールでタイガー・ウッズが第2打をグリーン奥の駐車場に打ち込み、隣のホールのティにドロップしてプレーを再開した出来事を思い起こした。
その一方で石川は「素晴らしくはないですね。ゴルフコースにいなかったので…。恥ずかしい。(後ろの組の)スコットにも悪かった」と少々ばつが悪そうに振り返る。それでもショットが安定し、充実したラウンドだったがゆえに、締めくくりのパーは歓声以上に大きな意味を持つ。スイング改造に取り組む中、練習場でできているスイングを試合で表現するため「今日のテーマは『コースは練習場』だった。常に自分に言い聞かせていた」という。ヘッドのトゥ部分を大きくし、アライメントを黒く塗りつぶしたプロトタイプのパターは今週から投入し、さっそく好感触をつかんだ。
上位進出へ向け「2アンダーか、3アンダーをまた明日一日で出したい」と石川。つかんだ手応えを自信に変えて2日目のティグラウンドに立つ。【米オハイオ州アクロン/桂川洋一】