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ノーザントラストオープン
期間:02/19~02/22  場所: リビエラCC(カリフォルニア州)

<選手名鑑146>ブルックス・ケプカ(フロント9~前編~)

「ウェイストマネージメントフェニックスオープン」で、米ツアー初優勝をあげたB.ケプカは今季注目選手のひとりだ

■ これからの時代を築くか?ケプカの強烈パワー

今季2月第1週の「ウェイストマネージメントフェニックスオープン」で、米ツアー初優勝をあげたブルックス・ケプカ(24)の飛距離と爆発力、勝負強さは群を抜いている。米国フル参戦は今シーズンが初めてで、まだ馴染みが薄いかもしれないが、これからの米ツアーでも中心的な役割を演じ、この先の時代を築く可能性を秘めた選手だ。今回は、フロント9と称した前編で、ケプカの突出したパワーを、バック9の後篇では、強靱な精神力に焦点を絞って紹介したい。

■ あっぱれ!米ツアー初優勝

初優勝とは思えない勝ちっぷりだった。2月第1週の「フェニックスオープン」で米ツアー初優勝を目前にしたケプカは、単独首位で最終18番を迎えた。会場TPCスコッツデールの18番ホールは、左に池、右には深いバンカーではさまれ、フェアウェイは極端に狭い。未勝利の選手にとっては、ビジュアル的にも恐怖で震え、普段通りのティショットを打つことは至難の業に思える場面だった。しかし彼はいつも通りにアドレスし、いつも通りのスイングで振り抜くと、打球はあっさりフェアウェイを捕らえた。しかも、フェアウェイセンター、320ヤードを超えるスーパードライブだった。このティショットを成功させるか否かが、勝敗を分けると言っても過言ではない重要な一打。成功すればガッツポーズ、笑顔が出る場面だろうが、ケプカは表情も変えず淡々としていた。その堂々たる姿は、彼の精神面の頑強さが半端ではないことを物語っているようだった。

1打差を追う松山英樹は1打目を左のバンカーへ。バーディで追いつきたい局面でのミスは、痛恨とも思えたが、松山の突出すべき能力は、そこからバーディチャンスにつけ、ケプカに強烈なプレッシャーを与えたことだった。それが効いたのか、ケプカはバーディパットを外し、プレーオフに持ち込めるか否かは松山次第となった。しかし、松山はバーディパットを外し1打及ばず惜敗を喫した。一方のケプカは、1打差に迫られながら、余裕さえ感じさせる初優勝。メンタル面の強靱さを印象付けるとんでもない選手が現れたと強いインパクトを受けた。

■ 鷲(イーグル)は再び舞い降りた

今回の米ツアーの初優勝の決め手はイーグルだった。誰が優勝するか最後までわからない展開の中、ケプカは14番終了時まで、3、4番手の微妙な位置でプレーしていた。迎えた15番、アイランドグリーンのパー5で、第2打をグリーン手前まで運ぶと、そこから約15メートルをパターで沈めてイーグルを奪取。2打を縮める通算15アンダーで、一気に単独首位に立った。このイーグルが奏功し、逃げ切ることに成功したのだ。ここぞの場面でイーグルを奪えるパワーとテクニックは彼の最大の魅力でもある。

ケプカは米ツアー初優勝の2か月半前に、欧州ツアーで初優勝を果たしたばかりだったが、その際もイーグルが決め手となった。2014年11月に開催された「トルコ航空オープン」最終日、首位スタートは欧州ツアー8勝のイアン・ポールター。ケプカは1打差でポールターとともに最終組でプレーした。勝負どころは13番パー5。バーディのポールターに対し、ケプカはイーグルを決めて逆転に成功。そのまま強豪を押さえて逃げ切り、欧州ツアー初優勝を決めたのだ。同大会は欧州ツアーのファイナルシリーズ全4戦の初戦。最終の「DPワールド ツアー選手権 ドバイ」には上位60位人しか参加できない。ケプカはこの勝利で最終戦出場を決め、最終ランクを8位に上げてシーズンを終了した。また、この大躍進で、欧州ツアーの年間最優秀新人賞(Sir Henry Cotton award)も受賞した。勝負所で自分の長所を生かし、しっかりイーグルを決めたプレーに“違い”を感じた。

■ 欧米を圧巻!ウルトラ・ディスタンス

ケプカは身長185センチ、体重82キロとツアーでは平均的な体格だ。バッバ・ワトソンンのようにアップライトなスイングでもなく、打つ瞬間に踵(かかと)が上がるジャンピング・インパクトでもない。強振する感じもなく、ロングヒッターに見えないのだが、ケプカの才能は欧米両ツアーの数字に表れ、欧州ツアーの出場権を初めて得た2013年から、いきなり力を見せつけた。シーズン終了時の平均飛距離は318ヤードで、初年度から1位の座に就いた。欧州ツアーにも、ベルギーのニコラス・コルサーツや、スペインのアルバロ・キロスなど、世界レベルの飛ばし屋がいるが、彼らを押さえての堂々の1位に君臨した。

同年8月の「全米プロゴルフ選手権」3日目、子供の頃から憧れていたタイガー・ウッズと一緒にプレーすることになった。ウッズはケプカの事はまったく知らず、最初の数ホールは、自分の飛距離が落ちているのではないかと心配したそうだ。そう感じた理由は、ケプカがウッズをアウトドライブし続け、飛距離で圧倒していたからだった。ホールアウト後、ウッズは自身の事より「アイツのパワーは凄い!」と脱帽したのだった。

ケプカは翌14年も平均飛距離4位と上位につけ、“ビッグヒッター”のイメージを世界に植え付けた。2014年は米ツアーのメンバーではなく、対象外であったが、平均308ヤードで6位に相当する順位だった。現在は315ヤードで1位(2月9日現在)。モンスタードライブのトニー・フィナウが309.5ヤードで2位。5ヤード以上の差をつけての1位に立った。このパワーこそがバーディ、イーグルを量産する爆発力に繋がる。また、勝負の場面で成功させる精神力の強さも見逃せない。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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