1997年 全米プロゴルフ選手権

ジャスティン.・レナード、2冠に王手をかける?丸山茂樹はわずかに後退。現在11位

1997/08/17 09:00

「練習ラウンドから日本のトーナメントの最終日以上にギャラリーが入って、何百人という人がスター選手について歩くなんて日本では考えられないでしょ」と丸山茂樹が言う。いつかは日本もそうなって欲しい。しかし現実的には難しいだろう。それなら世界で自分が練習ラウンドからギャラリー引き連れて歩くような存在になればいい。

丸山はアメリカのゴルフファンに強い印象を残した。記者たちから「イラブ投手を知ってるか」とも聞かれたという。日本にはジャンボとアオキだけではない、マルヤマもいる。全英オープンでの活躍が決してまぐれではないことを、全世界に証明してみせたのだ。
ウィングドフットに入ってからの丸山の体調は決して良くなかった。フラフラしながらのプレーだったが、気力で補ってきた。ともすれば崩れそうになるプレーを支えてくれたのは苦しかった全英オープンを闘い抜いた自信だ。

そして3日目、バーディを4つ奪ったもののボギーも6ホール。手痛いダブルボギーも出た。トータル74。4打の後退。11位タイ。首位に9打差ではもう夢を描くことが難しい。それよりも夢だったマスターズ出場のための「8位」も安心できなくなってきた。こうなったら最終日は一つで二つでも沈めるしかない。パープレーでいいやなどど守りに入ったら、いくつ叩いてしまうかわからないウィングドフットなのだ。

グリーンがどんど難しくなっている。どんどん速くなっている。グリーンが難しくなれば、この人の出番。ジャスティン・レナードが5アンダーをマークして首位に躍りでた。あの全英オープンで見せた小技の冴え、パッティングの絶妙のフィーリングが高速グリーンにぴったりマッチしている。

レナードの戦うべき相手はデービス・ラブIII。2位以下を大きく引き離して、事実上の一騎討ちになってきた。ただし、全英の例もある。7打差といっても、上が2つ落として下が3つ上げれば並んでしまう。ほんとうのところは、まだ何もわからない。

タイガー・ウッズはまたも崩れた。追い上げるべき3日目なのに、4番でいきなりダブルボギー。ラフからバンカーを渡り歩いてのダボだ。そして終盤17番でも、またもやダボ。これではイーグル(12番)をとっても何の足しにもならない。もちろん可能性ゼロではないが、限りなくタイガー・ウッズの全米プロは終わったといっていい。

タイガーといえば、高名な画家が彼を描くためにコースに来た。リロイ・ニーマンといっても日本ではあまり馴染みがないも知れないが、アメリカでは映画スター並の人気がある画家である。彼の描くテーマはスポーツ。そのニーマンがかつてのトッププロ、今はテレビの解説をしているジェリー・ペートの紹介でタイガーの絵を描くためにスケッチに現れた。絵画界のビッグスターが描くゴルフ界のビッグスターの絵は果していくらの値がつくのだろう。

1997年 全米プロゴルフ選手権