2019年 マスターズ

感動のフィニッシングホール オーガスタ18番は最終試験

2019/04/10 08:08
左サイドのフェアウェイバンカーは深い。マスターズを戦い抜いた選手たちはフィナーレをどう迎えるか

4月のメジャー初戦「マスターズ」がいよいよ11日(木)に開幕します。すべてのゴルファーが憧れるジョージア州・オーガスタナショナルGCで、今年も熱戦が期待されます。当地は1934年、ボビー・ジョーンズとアリスター・マッケンジーの設計で開場し、年々進化を続けています。11番、12番、13番の“アーメンコーナー”は特に有名ですが、ほかにも攻略が難しいホールばかり。大会直前のこのコーナーでは、3ホール以外にポイントになるホールを5つピックアップします。(解説・進藤大典)

オーガスタナショナルGC 18番パー4(465yd)

オーガスタナショナルのフィニッシングホール。最後に最難関と言えるショットのテストが待っている

PGAツアーをはじめ、米国のコースの数々はとにかく18番ホールのつくりが難しい。世界最高のタイトルを争うマスターズももちろん同じです。日本の多くのクラブとは少し違うところかもしれません。ここまで17ホール、散々選手を苦しめてきて、フィニッシングホールで最高難度のテストが待ち受けます。18番はショット力が最も試されるホールと言えます。

ティショットは両サイドにそびえるパインツリーのトンネルを打ち抜いていきます。フェアウェイが右に傾いているので、地面が硬い日だと(右打者の場合)スライス、フェードボール(右回転のボール)では、右のラフまで転がってしまう。また、ティエリアからは左側の木の方がせり出ており、フェードを意識しすぎると、そこに当てて地面にポトリ、飛距離は100yd…なんてことにもなりかねません。

私の考えでは、限りなくストレートに近いドローが理想的。ただし、最近の飛ばし屋は左のフェアウェイバンカーに3Wでも入ってしまうことがあります。左からの風が吹いたときが最難関。針の穴を通すショットが本当に求められるのです。

青印は予想ピンプレース。ショートサイドは絶対に避けたい

セカンドショットは2段グリーンが相手になります。横幅は13ydほど。ピンに近いショートサイドには決して外してはいけません。

最終日の左手前のピンが有名ですが、それまでの3日間も大変。特に、奥の段に切られた日は緊張感が増します。2打目を突っ込みすぎて、グリーンの奥にボールをこぼしてしまうと、目の前の段(ティから見て奥の段)に止めるのは至難の業。クッションを使って、カラーから“ひと転がり”でようやくグリーンに落ち、滑り始める…くらいの繊細なアプローチでないと、下の段まで転がってしまいます。ピンが上の段にあるとき、2打目で突っ込み切れず、下の段からパットをしている選手の心理も理解してくださると、うれしく思います。

厳しい試練ばかりが続いたオーガスタでの戦いは最後に報われます。日曜日、72ホール目にパトロンの拍手を受けて、フェアウェイを上り、グリーンにたどり着く瞬間の気持ちは何にも代えられません。小さいころからテレビで見てきたマスターズ。ここでバッグを預けてくれた谷原秀人選手、松山英樹選手にはもちろん、普段サポートしてくださるたくさんの人への感謝が込み上げます。言葉では表せない、神様がくれたギフトの時間が「ここにまた来たい」と思わせてくれるのです。

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