2019年 ザ・ホンダクラシック

最後まで気が抜けない ベアトラップの水難ホール

2019/02/28 07:03

■PGAナショナル・チャンピオンコース16番パー4(434yd)

セカンドショットが池越えになるパー4。まずはティショットのポジションが重要に(Sam Greenwood/Getty Images)

ジャック・ニクラスが1990年に改修に加わったPGAナショナル・チャンピオンコースが、フロリダスイングの始まり。特に15番からの連続する3ホールは難度が高く、“ベアトラップ”の異名を持ちます(ベア=熊/ニクラスの愛称、トラップ=罠)。今回ピックアップするのは右ドッグレッグの16番パー4。すべてのショットに高い精度が求められます。

まずはティショット。アゲンストの風が吹くことが多く、右サイドのハザードを避けることを最初に考えます。飛ばしすぎると池がせり出てフェアウェイが狭くなるため、求められるのは正確性。右のフェアウェイバンカーを越えるためには260ydのキャリーが必要になりますが、そうなると今度は266ydで入ってしまう左のバンカーが効いてくる。この左サイドのバンカーをめがけて打ち出し、右に流れるフェードボール(右打者の場合)を選択する選手が多くなるでしょう。ただし、池には絶対に入れてはいけないという思いから、フェードをかけきれずにそのままバンカーに突っ込むケースが多々見られます。

右サイドに池が広がるドッグレッグホール。左サイドのフェアウェイバンカーからの2打目が難しい

左のフェアウェイバンカーに入れた場合は、エッジまで約170yd、ピンまでは190yd前後の第2打を打たなくてはいけません。もちろん池越え。6I、5Iというクラブを握るので、プレッシャーは十分です。

グリーンは左奥部分が高い2段形状。この左奥の狭いエリアにカップが切られた日にバーディを獲るのは至難の業です。ピンが手前の日は、バンカーに入れるとパーセーブが大変。下り傾斜に対して繊細なショットが必要になります。

このホールに代表されるのですが、フロリダではグリーン周りのフェアウェイも簡単ではありません。芽の強いバミューダ芝が逆目になっていると、ウェッジが突っかかってチッピングが難しくなります。ティショットを失敗して、なんとかセカンドをグリーン周りまで持っていった…というケースも最後まで気を抜けません。

厄介な2段グリーン。青印は予想ピンプレース

フロリダはこの時期いつも風が強く、午後になるにつれて勢いを増します。大西洋岸で行われるこの「ザ・ホンダクラシック」には毎年多くの“ご近所さん”が出場。ロリー・マキロイ(北アイルランド)やジャスティン・トーマスリッキー・ファウラー、そしてタイガー・ウッズの現在の拠点もこのコースの近くです。

そうは言っても、PGAナショナルは難度の高いコースとして有名で、池のからむホールが18ホール中15もあります。オハイオ州に住むジェイソン・デイ(オーストラリア)は「too much water(池、多すぎ)」としてこの週をいつもオフに。このコースを好まない選手も多くいるのです。(解説・進藤大典)

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