全英直前 当時19歳のジョーダン・スピースが見せた覚悟
ルーカス・グローバーが「ジョンディアクラシック」を制しました。直近の優勝は2011年「ウェルズファーゴ選手権」。2020-21年シーズンでは、開幕戦で11年ぶりVを飾ったスチュワート・シンクに次ぐブランクの長さとなります。
2016年にはパーオン率1位(71.63%)になったこともあるショットメーカー。けがや不調で15、18年と下部ツアーとの入れ替え戦も経験しました。40歳を超えてベテランの域に差し掛かり、「20代の頃より、いまの方が努力しているし、効率的な取り組みができている。100%、(優勝者として)戻って来られる確信があった」と言い切る自負がありました。
今年2月からは新たなコーチにも師事し、手応えを感じ取っていた部分もあるのでしょう。ベスページ州立公園ブラックコースで開催された2009年「全米オープン」を勝った1週間のうちに4冊の本を読破するほどの読書家で、探究心も旺盛な選手。自分を信じ、歩みを止めなかった復活劇でした。
この「ジョンディアクラシック」は「全英オープン」の前週に行われるのが恒例のスケジュール。13年大会でPGAツアー82年ぶりとなる10代優勝を達成したジョーダン・スピースの逸話が印象に残っています。
当時のスピースはまだシードも獲得していない19歳。主催者推薦での出場でした。もちろん翌週の全英の切符も持っていなかったのですが、渡英に向けた荷物を完璧に用意した上で「ジョンディアクラシック」に参戦。72ホール目となる最終18番でチップインを決め、勢いのままザック・ジョンソン、デービッド・ハーン(カナダ)との三つどもえのプレーオフで競り勝ち、全英のフィールドに滑り込んでみせました。
シーズン6試合目となるメジャー開幕も目前。スピースが17年の「全英オープン」でドライビングレンジから放った奇跡のリカバリーショットのような名シーンが今年も生まれるのか、僕もいまからワクワクしています。
新型コロナウイルス感染を調べる検査で陽性反応が続いていた松山英樹選手は残念ながら欠場することになってしまいましたが、体調は回復傾向と聞いているので、少しだけ安心もしました。とにかく体調を万全にして戻ってきてほしいと思います。
2013年から継続していたメジャー連続出場は33大会。最終戦の「ツアー選手権」7年連続出場とともに、高い次元での安定感を証明する数字です。久しくなかった“松山選手のいないメジャー”。出場する日本勢5人の奮闘に期待です。(解説・進藤大典)