2012年 アブダビHSBCゴルフ選手権

【WORLD】タイガーのアブダビ参戦で浮き彫りになったのは?

2011/12/27 12:05

Golf World(2011年11月28日号)GW bunker texted by John Strege

2012年、タイガーは自身の初戦をトーレパインズではなく、アブダビで迎える。ドバイでのリゾート開発も気になる?(Ian Walton/Getty Images)

アブダビでの大金のため、サンディエゴで開催される2012年PGAツアーの大会を欠場するというタイガー・ウッズの決断は、アメリカ国内で開催される2番手レベルのイベントが直面する問題を浮き彫りにしている。

金がすべてではないと嫌になるほど聞かされるが、スポーツ界では、金を追い求めることは常に賢明だとされる。これは大体の場合、本質につながる。タイガー・ウッズは2012年初旬にトーリー・パインズで開催される「ファーマーズ・インシュランスオープン」を欠場し、「アブダビHSBCゴルフ選手権」に出場すると発表したが、その理由を旅行熱になぞらえた。「新しい場所に訪問できることが、プロゴルファーである醍醐味の1つなんだ」。

アブダビが世界随一の金満都市で、何百万ドルという大枚がばらまかれるという事実が、古くから伝わるナバティ・ポエトリーに触れたいタイガーの思いにたまたま合致しただけと、うわべ上はファンに信じ込ませられただろう。だが、文化に興味を持ったから、この決断を下したわけではない。出場するだけで、200万ドルもらえるという金がそう決断させたのだ。

もちろん、タイガーにはトーリー・パインズではなく、アブダビを選ぶ権利がある。それでも、PGAツアー通算71勝の10%近くを生み出したコースで開催されるトーナメントを欠場するのだから、ゴルフの国際化とFedExカップ・プレーオフが生み出した、簡単には解決できないPGAツアーの問題を浮き彫りにした。

ウッズをはじめ他のトッププレーヤーのスケジュールは、近頃はほとんど操作できない状況にある。4大メジャーに出場し、4大会あるワールド・ゴルフ・チャンピオンシップス(WGC)は少なくとも3大会(各大会は高額賞金が保証されている)、プレーヤーズ選手権、FedExカップ・プレーオフ4大会にも参戦する。アーノルド・パーマージャック・ニクラスからベイ・ヒルやザ・メモリアルで開催される大会に招待されれば断りづらいので、2大会を追加。自分で出場したい1大会を加えれば、PGAツアーのメンバーに課せられる15大会出場に達してしまう。

2010年、アンソニー・キムが地元カリフォルニア州ラ・キンタで開催されるPGAツアーの「ボブ・ホープ・クラシック」を欠場し、同じくアブダビを選んだことで、ちょっとした騒ぎが起きた。この停滞する景気も相まって、ツアーメンバーが国内ではなく海外の大会に出場できるように、日程が重なる大会を延期しようという提案がなされたのだ。

これは実現していない。だが、ウッズの決断は、スターを国内ツアーに専念させて、スポンサーを支援できるようにするツアーの能力が、相当むしばまれているという最もわかりやすく憂慮すべき例だ。スポンサーたちは、大会にメジャー優勝者が参加していると強調するために、ジョン・デイリーを招待することに徐々に飽きてくるだろう。

「ファーマーズ・インシュランスオープン」のエグゼクティブ・ディレクターに新任したピーター・リパ氏は、ウッズの決断に対して、何とか体裁を保とうとした。WGCイベントへの出場権を維持するため、ウッズは世界ランキングのポイントを獲得しなければならない。それにはファーマーズ・インシュアランスオープンよりもアブダビの方が高ポイントを得られるだろう、と言うのがリパ氏の言い分だ。

だがリパ氏は、すでに国内で賞金3億ドル近くに達したエリートプレーヤーたちは、海外で確実に賞金を増やす逃しがたいチャンスを持っている事実も知っている。「一個人として、目の前にケーキがあれば、食べるのが当然の選択でしょう。プレーヤーとしてのブランド価値を上げながら、大金と世界ゴルフランキングのオフィシャル・ポイントを獲得するチャンスがあるんですから」。

偶然にも、リパ氏がウッズの決断を知ったのは、起き抜けのことだった。目覚めの悪い朝となったが、こういう経験をするのは彼一人だけではないだろう。

米国ゴルフダイジェスト社提携
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