週刊GD

世界中のゴルフ場に「サハラ砂漠」がある!?

2013/02/26 20:43

「週刊ゴルフダイジェスト」連載「ゴルフコース好奇心」(3月12日号)より

【上】バルタスロール(Lower)17番・P5【下】パインバレー8番・P4

セントアンドリュースをはじめ、英国リンクスにはホールの名称だけでなく、バンカーにも特徴を表した名称が付いています。クラシック時代に米国にも伝わっていき、今、バンカーの名称で最も数多いのが「サハラ」です。

広大なサハラ砂漠のように、コース上のフェアウェイを分割する広大な砂地帯(ウェストエリア)やバンカー群を指して名付けられています。サハラを最も活用したクラシック時代の設計家はアルバート・ティリングハーストでしょう。

彼はダブルドッグレッグホールなどでフェアウェイをステレオタイプに分けるハザード群にサハラと名付けました。

また、有名なのは設計アドバイザーとして参加した世界ナンバー1コース、パインヴァレー8番のティとフェアウェイの間に広がる巨大なウェストエリア、さらには彼の設計のなかで最も多くのメジャートーナメントの舞台となったバルタスロール17番も、フェアウェイを大きく横切る広大なバンカーがサハラの名称です。

第一回ジ・オープン開催のプレストウィックでは、17番ホールの小丘でブラインドになるアプローチショットに対し、グリーン手前に設けた大きなバンカーもサハラの名称。

日本にも戦前からサハラバンカーは存在します。設計家・大谷光明は、アリソンが東京GC旧朝霞コース18番や廣野GC6番で設計したティショットで巨大なマウンドを越えさせるアルプスホールと、プレストウィックのグリーン手前のサハラバンカーのアイデアを複合しました。それが東京GC14番にあります。開設当時は巨大なひとつのバンカーでしたが、現在はプレー進行を考慮してバンカーは分割されています。

バルタスロールのサハラも同様で、かつては巨大なハモックバンカー(バンカー内に芝のマウンドが点在するスタイルで、リンクスの自然な砂丘に多い)でしたが、現在は分割バンカー群です。

●解説/マサ・ニシジマ(コースコメンテーター)
大学卒業後、米国留学し、ドン・ロッシーの元でゴルフコースのクラシック理論を学ぶ。世界各国何千というゴルフ場を視察。その深い見識から米ゴルフマガジン誌の世界トップ100コース選考委員も務めた。