週刊GD

尾崎将司も認める“ミニジャンボ”と呼ばれた男がいた

2013/01/22 20:43

「週刊ゴルフダイジェスト」(2月5日号)より

1971年日本プロの表彰式の模様。増田は青木(左端)や杉本英世(右から2人目)、尾崎(右端)ら大男と並んでも風格では負けていない

青木功中嶋常幸とともに、長年にわたってプロゴルフ界を牽引してきたジャンボ尾崎。彼の豪快なスウィングとドライバーの飛距離は、すべてのゴルフファンを魅了してやまない。

そのジャンボが初優勝した71年の日本プロの表彰式。大男たちのなかに、ひとりの小さな男がいた。増田光彦である。負けん気の強そうな面構えのままに、157センチの体でも大男を相手に、飛距離では決して引けを取らなかった。

増田はこのとき、最終日・最終組でジャンボと一緒に回った。試合には敗れたものの、その飛距離は新人だったジャンボに強烈な印象を植え付けた。後にジャンボはインタビューに答え、「いやぁ、俺なんかより(体の比からいえば)増っさんのほうが飛ばし屋だよ」といったという。これを機に、増田には『ミニジャンボ』『小さな飛ばし屋』といった異名がついたのだ。

「体が大きかったら飛ばすための工夫はしなかったかもしれん」と増田。ジャンボをはじめ、体格が良くパワーのあるプロたちを向こうに回して互角に戦った彼は、この工夫と努力で、プロとしての確固たる地位を築いたのだ。

その後増田は、3人の子供を含め、15人のプロを育て上げた。ジャンボを唸らせた『増田流・飛ばしの工夫』は、彼らに脈々と受け継がれているのだ。

そんな増田家の“かっ飛びスウィング論”を紹介した「週刊ゴルフダイジェスト」の記事によれば、彼の教えは実に明快なものだった。「ハンマー投げがお手本。ヘッドに振り回されれば、回転エネルギーが大きくなる」。小さくてもジャンボ並みのヘッドスピードを出すためには、そんな遠心力を利用するほかない、という信念だ。

他にも「右ひざに目がある」「クラブはいつも体の中(うち)にある」「スウィングは一つでエエ」など、ユニークな教えがたくさん出てくる。「誰よりも必死になって効率のよいスウィングを考えた」増田だからこその重みのあるレッスン。アマチュアの心を揺さぶるに違いない