スコットランドで2年越しの結婚式を アンナ・ノルドクビスト<LPGA選手名鑑>
大柄なアスリート体系の選手が多いLPGAツアーの中でも、183cmの長身はひと際、視線を集めます。スウェーデンのアンナ・ノルドクビスト選手は2021年の「AIG女子オープン」(全英女子)で3つ目のメジャータイトルを勝ち取りました。プロ転向、初優勝から13年が経った今も第一線で活躍するトッププレーヤー。2022年の男女を通じたメジャー最終戦のディフェンディングチャンピオンを紹介します。
■ルーキーイヤーにメジャー制覇
アンナ・ノルドクビスト Anna Nordqvist
◆生年月日 1987年6月10日
◆出身 スウェーデン・エシルストゥーナ
◆ルーキーイヤー 2009年
史上最強の女子プロゴルファー、アニカ・ソレンスタム選手を輩出したスウェーデンでジュニア時代から名を馳せました。高校時代に同国のジュニアナンバーワンの栄誉を授かり、米アリゾナ大に進学し、スペインのアサハラ・ムニョス選手はチームメート。ちなみにジュニア時代は真冬のプレーもへっちゃらで、寒さには強かったそうですが、温暖なアリゾナに住み始めてからは、必ずしもそうとは言えないそうです。
2007年から2年続けて「全英女子オープン」でローアマチュアに輝き、シルバーメダルを獲得。08年末のQスクールを通過してプロ転向、LPGAツアー、欧州女子ツアー(LET)を掛け持ちする形でキャリアをスタートさせます。ルーキーイヤーの2009年、出場わずか5試合目の「マクドナルドLPGAチャンピオンシップ」(KPMG全米女子プロ選手権)でメジャー&ツアー初制覇を成し遂げました。その年の最終戦「LPGAツアー選手権」で2勝目。若くして大舞台で強いところをアピールしました。
■伝染性単核球症という病
3勝目をマークするまでにその後3年の空白期間がありましたが、2014年の「ホンダLPGAタイランド」、「キアクラシック」も制してウィナーズサークルに戻りました。ところが、2017年の「エビアン選手権」でメジャー2勝目を挙げてからはスランプに陥ります。ウイルス感染による伝染性単核球症という病にも苦しみ、ツアーには出場しながらも体力的にも精神的にもダウンしてしまいました。
カムバックのきっかけのひとつがコロナ禍だったそうです。ツアーが中断され、家族と過ごす時間が増えたことで、自分を見直す時間も増えて徐々に回復しました。雨風の「エビアン」で見せたタフな天候やコースセッティングへの強さも戻り、昨年の「AIG女子オープン」では数々のドラマを生んできたカーヌスティの難度の高い上がり4ホールを切り抜けて優勝。キャディの夫、ケビン・マカルピンさんの実家から20分の位置にある会場で、家族や友人に見守られながらメジャー3勝目を挙げたのです。
不振中はショートゲームで苦戦していましたが、グリーンの外からパターを使ったりする新しいスタイルを模索してきました。20代の頃には2、3カ月おきにコロコロ替えていたパターは、2019年にアリゾナでオリジナルパター「the Swag putter」というブレードパターを作ってもらってからはこれ1本。フィーリング重視のプレーヤーで、インパクト時の「マシュマロみたいな」ソフトな感覚がお気に入り。オリジナルのパターカバーも派手で目立つので、たくさんの選手がいる練習場では彼女のことはすぐに見つけられます。
■両親は意外とおカタい職業?
プライベートでは警察官の父と薬剤師の母を持ち、2人の弟がいます。今回のミュアフィールドでの戦いは、結果はどうあれ、忘れられないゲームになるでしょう。
昨年3月に自宅のあるアリゾナで小さな結婚式を挙げた一方、ケビンさんの地元であるスコットランドでの挙式はコロナ禍で延期になりました。
今大会終了後もスコットランドに残り、今度こそ結婚式を挙げる予定を立てています。「2018年に婚約してから2年間、式が延期されていたから、ウェディングドレスが入るか心配…」と笑って話していました。