最強きょうだいのお姉ちゃん ミンジー・リー<LPGA選手名鑑>
イーグルやバーディはもちろん、たとえボギーをたたいても、彼女はギャラリーの声援に応えることを忘れません。手を振ったり、口元をキュッと上げてみたり。そんな小さなリアクションがファンの心をつかむのは世界共通です。
同姓の私から見てもとってもチャーミング。また、英語の発音でオーストラリア特有のアクセントも米国では魅力的に聞こえます。どれだけ調子が悪く、スコアを落としても、ホールアウト後にインタビューにしっかり答えてくれる人間性も人気の秘密。ミンジー・リー選手は目下のLPGAツアーを引っ張る、実力と美貌を兼ね備えたアイドルのひとりなのです。
■両親は韓国出身 オーストラリアのエリート
ミンジー・リー Minjee Lee
◆生年月日 1996年5月27日
◆出身 オーストラリア・パース
◆ルーキーイヤー 2015年
韓国からの移民である両親に育てられ、10歳のときにゴルフを始めました。きっかけは練習場でティーチングプロをしていた母・クララさんがきっかけ。弟のミンウ・リーとお互いを刺激し合いながら腕を磨きます。
2012年に「全米女子ジュニア」で優勝、13年には「オーストラリア女子アマ」を2連覇。14年にはオーストラリアのプロツアーを制し、世界アマチュアランキングで1位にもなりました。日本で行われた「世界女子アマチュアチーム選手権」もチームを優勝へと導き、満を持してプロに転向しました。
初年度の「キングスミル選手権」でさっそく初勝利を挙げ、その後も「インターナショナルクラウン」(2014、16、18年)や「リオデジャネイロ五輪」、「東京五輪」でもオーストラリア選抜の常連メンバーです。
■笹生優花と仲良し
2021年は飛躍の一年になりました。7月の「アムンディ エビアン選手権」で悲願のメジャー制覇。7打差を追いかけた最終日に「64」をマークし、トップで並んだイ・ジョンウン6(韓国)とのプレーオフが印象的でした。
1ホール目の18番(パー5)、2オンを狙った一打でミンジーはいつものリズムでキャディに残り距離を聞き、時間をかけずにすぐにショット。メジャータイトルがかかった場面でも動じずに2オンに成功、バーディを決めて勝負を決めました。
ところで、その「エビアン」の直前、ペアでプレーする「ダウグレートレークスベイ招待」では、以前から知り合いだった笹生優花選手を誘って一緒に出場しました。英語で会話する間、笹生選手も少し話せる韓国語も交えてコミュニケーション。その後も一緒に食事をするなど仲良しです。
ボールストライクに長けたショットメーカー。パッティングもアグレッシブで、それぞれが噛み合うと爆発的なロースコアを出せる選手でもあります。このオフはジムで身体作りに取り組み、メディシンボール投げなどでヘッドスピードアップに成功。パターも入念に練習してきたそうです。
■オーガスタで弟ミンウの“キャディ”に
先ほど記したように、ミンジーのステップアップには2歳下の弟の存在がありました。そのまた逆もしかりです。ミンウは「姉のハードワークとメンタリティを尊敬している。アンダーパーでもオーバーパーでも表情が変わらないところを自分も真似したい」と話しています。欧州男子ツアーを主戦場にして、2020年「ISPS HANDA ヴィックオープン」で初優勝。故郷のオーストラリアで、きょうだいで喜びを分かち合いました。
ミンウは昨年2勝目をマークし、今年4月についに「マスターズ」に初出場しました。恒例のパー3コンテストでキャディを頼まれたミンジーは「OK!」と即決。両親もオーストラリアから駆け付け、オーガスタで久しぶりに家族がそろったのです。
バッグを担いだミンジーは8番と9番でティショットにチャレンジ。パトロンも大喜びする中、9番ではバックスピンでグリーン手前の池に…。「テレビに映っていなくてよかった」と、屈託なく笑っていました。