2022年 JTBCクラシック

畑岡奈紗 強くて優しい日本のヒロイン<LPGA選手名鑑>

2022/03/24 14:04
LPGAツアー6年目の畑岡奈紗

畑岡奈紗選手は2022年で米国女子ツアー(LPGA)の6シーズン目を迎えました。1月に23歳になったばかり。昨年はメジャー初制覇を逃した「全米女子オープン」、メダルを逃した「東京五輪」といった悔しいゲームもありましたが、賞金ランキングは3位、年間ポイントレース(レース・トゥ・CMEグローブ)は10位とベストシーズンだったとも言えます。

序盤戦はスロースタートながら、復調にはあるきっかけがありました。5月の「バンク・オブ・ホープLPGAマッチプレー」でパティ・タバタナキット(タイ)に敗れた際、彼女のウイーク気味のグリップを見て、プレー後の練習ですぐに導入。次の試合からスイング中のテークバックが安定し、エンジンがかかりました。7月「マラソンクラシック」で優勝、1試合で2回のホールインワンを達成した「ウォルマート NW アーカンソー選手権」で2勝目をマーク。最終戦の「CMEグループ ツアー選手権」では優勝したコ・ジンヨン(韓国)に迫り2位で終えました。

17歳でLPGAの予選会を通過 日本経由せず米国へ

畑岡奈紗 Nasa Hataoka
◆生年月日 1999年1月13日
◆出身 茨城県
◆出身校 東京・ルネサンス高
◆ルーキーイヤー 2017年

国内メジャーの2016年「日本女子オープン」でアマチュア優勝を達成した畑岡選手は、その年の末にLPGAのQT(予選会)に挑戦しました。ファイナルQTのフィールド最年少(17歳)にして、14位タイに入り翌年からの出場権を獲得します。

ルーキーイヤーの2017年は単身でツアーに参戦。各地でコース近隣のレストランを自分で探し、洗濯や飛行機の手配もひとりで行いました。秋には「日本女子オープン」で通算2勝目を挙げましたが、LPGAでは17試合の出場で9回の予選落ち。賞金ランキング140位に終わり、シードを得ることができませんでした。

その年末、2回目の挑戦となったファイナルQTで今度は1位通過。2年目の2018年から母の博美さんが帯同するようになり、ゴルフに集中できる環境も整いました。キッチン付きのホテルや、民泊サイトで探した個人宅を借りて転戦しています。

同年6月の「ウォルマート アーカンソー選手権」では、日本勢最年少(19歳162日)でのLPGA優勝となりました。敗れはしましたが、続く「KPMG女子選手権」ではプレーオフに進出し、メジャータイトルに大きく前進したのです。

ストイックな性格

たちまちトッププレーヤーの仲間入りを果たした畑岡選手のレベルアップのスピードが速いのは、彼女のストイックな性格と、自分自身のことをよく理解しているからだと思います。ミスの傾向に対する感性も鋭い。トライ&エラーを繰り返すことを躊躇(ちゅうちょ)しません。

調子が良い時のアクセル全開の爆発力は健在で、悪い日も悪い日なりの対応力の高さが目立ちます。試合中はリーダーボードを常に確認しながら回るタイプ。コースレコードを頭に入れてプレーすると、気合がさらに入るようです。転戦には体重計をいつも持参し、体脂肪や筋力などをコントロール。試合期間中も週2回のトレーニングを欠かしません。

相棒のグレッグ・ジョンストン氏はクリスティ・カーミッシェル・ウィジュリ・インクスターといった数々のトッププレーヤーのバッグを担いできた名キャディです。畑岡選手のティタイムが午後の日は必ず、朝からコースチェックに来て、キーホールのチェックに長い時間をかけます。

2020年「KPMG女子選手権」(ペンシルベニア州、アロニミンクGC)の10番ホールは難度が高く、月曜日から試合が始まる直前まで他選手の様子を確認していました。寄せにくいグリーン右サイドからのアプローチで、畑岡選手はUTを使ってナイスパーセーブ。仕事に厳しい2人のコンビネーションです。

気遣いのひと

自分に厳しい半面、他選手をはじめとした周囲への気配りができる人間性の持ち主です。ラウンド中、コースに落ちているゴミを捨てたり、同伴競技者がショットではがした芝を拾ったり。ルーキー時代から最終日は親交のある選手のプレーオフの応援や、居残り練習をした後に優勝選手を18番グリーンで祝うことも多くありました。

2017年の「ボランティア・オブ・アメリカ」では、優勝した野村敏京選手とクリスティ・カー選手のプレーオフが6ホールにも及びました。凍えるほどの寒さの中、畑岡選手はクラブハウスのロッカーからバスタオルを大量に取ってきて、グリーン横で応援している選手やメディア関係者に配っていたのです。

キャディのジョンストン氏もまた「畑岡選手のゴルフに対する真っすぐで、ストイックな姿勢、気遣いのできる優しさに触れ、やりがいを感じて一緒に頑張りたいと思える」と話しています。(解説・片平光紀

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