ソールの真ん中っていらないの? 「FJ」の新シューズを男女ツアーで発見!
女子は10月末の「三菱電機レディス」、男子は前週の「VISA太平洋マスターズ」で、フットジョイのスタッフがツアープロたちに新しいシューズを配給していた。青い差し色が目立つそのシューズ(鶴岡果恋のモデルはピンク色)は今まで見たことのないモデル。実際に幡地隆寛が試し履きしていたものを見せてもらうと、ボアの下にうっすらと「PRO SL X」の表記がある。「PRO SL」というと、フットジョイのツアー用定番スパイクレスであるが、その後継モデルだろうか。
プロがスパイクレスシューズを履くのは今や当たり前の光景だが、「PRO SL」の初代が登場した2016年当時は、ツアー界ではまだスパイクシューズが主流だった。その後、2代目、3代目と登場し、2022年に現行モデルの4代目が出ている。そのスイング時のグリップ力、歩行のしやすさ、傾斜地での安定感などはツアープロの間でも評価が高く、同モデルがプロ界のスパイクレス化に一役買ってきたのは間違いない。
今回配給している「PRO SL X」はその後継と目されるモデルで、5代目にあたるのだろう。それにしても「X」にはどういう意味が含まれているのだろうか。ぼんやりとその意味を考えながら幡地の打っている姿を眺めていると、フィニッシュでめくれた足裏に「X」の文字が浮かび上がっているではないか。
再びシューズを借りて、そのアウトソールを詳しく見せてもらうと、突起(スパイクレスポイント)が外周だけにしかなく、中央部がえぐられている(そこに「X」のデザインが施されている)。外周にある突起部はつま先とかかとに同じような円形があるものの、サイドが台形だったり、その長さや形もいくつかあり、スイングの特性を意識してなのか内側と外側で非対称にも見えた。それにしても外周だけにしか突起がないので頼りなさそうに見えるが、実際に履いて球を打っていた幡地は「ねじる動きや横のブレにも強い」とグリップ力を絶賛していた(その後試合でも即投入)。
ソールの真ん中ってそんなに必要がないものなのか、つい自分のシューズでソールを意識しながらシャドースイングしてしまった。スパイクレスになった時点でグリップ力の心配をしていた時代を考えたら、真ん中に突起がないのは実に心もとないかもしれないが、幡地以外にも鈴木晃祐や中西直人といったプロたちが試合ですぐに履いたというから、驚くばかり。ドライバーやボールの進化はよく騒がれるが、シューズも同じぐらいのスピード感で進化しているのだろう。
試合でも履いた中西直人は「前回よりも横ブレがだいぶなくなって、ねじれなくなりました。特にトップの時に横ブレが少なくいい意味で引っかかる感じがあります」と性能の進化を認める。中央部がえぐれたソールに関しては「実際ここ(ソールの真ん中)ってあまり意味ないと思っていたんですが、今回のモデルはがっつりなくしたじゃないですか。それがすごいなって思いました」と、今回のデザインを予見していたかのようなコメント。
中西はさらにフィット感についても言及する。「今までインソールを変えていたんですが、今回はそのまま変えずにいけました。土踏まずのところが小山になっていて、ほんのり沈み、砂浜に足を埋めているような感じがします。シュータン部分も薄くなって、それでフィット感もより上がりました」と絶賛。FJのシューズはボアがヒールにあることで、シュータン部分をより薄くできるそうだ。
実際の「X」の効果や性能の進化面など詳細はまだ不明だが、プロの評判は上々の様子。未だに海の向こうでは、鉄びょうを付けてカチャカチャと音をさせているプロもいるが、ここまで進化したスパイクレスをその人たちが履いたらどう思うのか。一度履いてもらって、感想を聞いてみたい。(編集部/服部謙二郎)