「いま僕はココにいます」Vol.147 スイス編
人は彼のことを“旅人ゴルファー”と呼ぶ。川村昌弘・29歳。2012年のプロデビューから活躍の場は日本だけでなく、ユーラシア大陸全土、そのまた海の向こうにも及ぶ。幼い頃から海外を旅することこそが夢で、キャリアで巡った国と地域の数は実に70に到達。キャディバッグとバックパックで世界を飛び回る渡り鳥の経路を追っていこう。
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プロゴルファーの川村昌弘です。
いま僕は、クラン・モンタナにいます。
今週はスイスでの欧州ツアー(DPワールドツアー)「オメガ ヨーロピアンマスターズ」に出場します。7月の英国での試合後、コンディションを整えてきました。3週間のオフは東南アジアでリフレッシュ。タイ、そしてついにこちらもコロナ禍での移動制限がほぼ撤廃されたマレーシアでゴルフをして欧州に帰ってきました。
最近は航空券も本当に高いので、旅程を組むのにも頭を使います。片道をつないでいくよりも、往復チケットを挟むと安く済むので。今回はチューリッヒとバンコク、クアラルンプールをうまくつなぐことができて一安心。チューリッヒからは電車の旅です。
さて、何年もこちらのコラムで紹介してきましたが、スイスは僕のキャリアの原点。今年も美しいアルプスの山並みが広がっています。大会は月曜日、水曜日に恒例のプロアマが行われ、プロアマの参加者にコースで振る舞われるラクレットチーズが毎年の楽しみ。温められて、とろける美味…ほかではなかなか味わえません。
大好きな試合からシーズンはいよいよ後半戦に入ります。賞金額も高いビッグゲームに向けて調子を上げていきたいところ。9月のフラッグシップ大会「BMW PGA選手権」(イングランド・ウェントワースGC)はもちろん、「カズーオープンdeフランス」も楽しみ。「パリ五輪」の会場にもなるル・ゴルフ・ナショナルはこれまで日程的に縁がなかったので、早くプレーしたいと思っています。
秋には来シーズンの出場権を争うQスクール(予選会)があります。最近、国内ツアーでプレーする日本人選手が挑戦するという、うれしいニュースが聞こえてきました。
僕の考えでは、日本で上位でバリバリやっているような選手はきっと通過できるはず。調子が悪くてレギュラーツアーのシードを失った選手たちと、次のステップを踏もうと挑んでいく若手とはモチベーションも違います。
今年は久常涼選手と練習をする機会がありました。僕よりもずっと飛距離が出て、曲がらないショット持っている彼のようなレベルの高いプロであれば何の心配もありません。
日本ツアーから海を渡るのは、大多数の人から見れば大ごとに感じられるかもしれません。でも欧州ツアーには、自国にしっかりとしたツアーがなく、戦いの場を求めて予選会を受けるのが当たり前という選手の方が多いのです。もちろんコースとの相性や、スケジュールの問題もあるでしょうが、「日本と同じ。ただ、ゴルフをやるだけなんだ」と落ち着いて臨めば、実力的にきっと良い結果が出るはずだと信じています。