「いま僕はココにいます」Vol.87 英国編
人は彼のことを“旅人ゴルファー”と呼ぶ。川村昌弘・27歳。2012年のプロデビューから活躍の場は日本だけでなく、ユーラシア大陸全土、そのまた海の向こうにも及ぶ。幼い頃から海外を旅することこそが夢で、6年間のプロ生活で巡った国の数は実に40に到達。キャディバッグとバックパックで世界を飛び回る渡り鳥の経路を追っていこう。
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プロゴルファーの川村昌弘です。
いま僕は、ニューキャッスルにいます。
ようやくトーナメントを戦うことができます。欧州ツアーは2週前に新型コロナウイルス感染拡大による中断から明け、オーストリア2連戦でシーズンが再開しました。今週の「ベットフレッド英国マスターズ」から英国で6連戦が始まります。
毎週のように開催国が違う欧州ツアーは当初、コロナによる移動の制限が心配されていました。この「UKシリーズ」は、イングランドで3戦、ウェールズで2戦、イングランドに戻って1戦という異例の6週間。これならば、一度入国すれば制限は最小限で済むという考えから、中断中に急きょ決まりました。とくに来週からの5試合は、昨年末に発表されたスケジュールには、もともとなかった試合。ツアーの財力を感じるし、試合を作ってくれたことをありがたく思います。
日本を発つ直前、PCR検査を受け、陰性の結果を持って渡航しました。入国は想像していたよりもはるかにスムーズで…。ヒースロー空港からはレンタカーで4時間、北上しましたが、立ち寄ったサービスエリアでもマスクをしている人はほとんどいないように思えました。「ソーシャルディスタンス」のポスターが掲載されている以外は、意外とフツウかなと。
とはいえ、ツアー参加選手は周辺よりも厳しいルールが敷かれています。前週日曜日の午前にコースに到着するなり、まず鼻腔と咽頭から検体を採取するPCR検査を受けました。結果は夜にメールで「陰性」と届き、ひと安心しましたが、宿泊はツアー指定のホテルで、観光はできそうもありません。各大会で普段用意されるコーテシーカーや、移動用のバスはなし。レンタカーの他選手との乗り合いも禁止。毎朝コースでは問診による健康チェックを行います。
以前とは違うことも多く、もちろん万事が安全とは言えません。シードは来シーズンまでキープされるので、日本に留まる選択もありました。両親もそう願っていたと思います。それでも悩んだ末に、「行かないのは自分らしくない」と決めました。帰国した日本に4カ月もいたこともしばらくなく、プロ仲間ともプライベートラウンドで練習をして、いい時間を過ごせました。まずは健康に気をつけながら、自分らしく“ゴルフ旅”を再開したいと思います。
〈今週のコース〉
クローズハウスGCは今大会のホスト役でもあるリー・ウェストウッド(イングランド)のホームコース。6872yd(パー71)と距離的には長いコースではないですが、想像以上にアップダウンもあって大変そう。同じ英国でもスコットランド・リンクスとは違う、街も近い林間コースです。しばらく、日本でのプライベートラウンドで、ソフトなグリーンに慣れてしまっていたので、うーん、かなり難しい気がします。グリーンに近づくに従って、難度が高まるのが欧米のコース。他の選手は、実はカンタンに感じていたりするのかな…。