「いま僕はココにいます」Vol.68 スイス編
人は彼のことを“旅人ゴルファー”と呼ぶ。川村昌弘・26歳。2012年のプロデビューから活躍の場は日本だけでなく、ユーラシア大陸全土、そのまた海の向こうにも及ぶ。幼い頃から海外を旅することこそが夢で、6年間のプロ生活で巡った国の数は実に40に到達。キャディバッグとバックパックで世界を飛び回る渡り鳥の経路を追っていこう。
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プロゴルファーの川村昌弘です。
いま僕は、クラン・モンタナにいます。
一年で最も楽しみにしていた一週間がやってきました。今週は欧州ツアー「オメガ・ヨーロピアン・マスターズ」に出場します。スウェーデンのイエーテボリからデンマーク・コペンハーゲンまで車で移動。スイス・ジュネーブへの直行便に乗りました。電車に揺られてアルプス山脈を望むシエルの駅に到着です。
中学生時代に近隣のエビアンで行われたジュニアの国際試合で壮大な景色に感動し、将来、ゴルフの旅に出ることを夢見てきました。僕の“原点”とも言えるこの大会に出るのはもう5回目。2年ぶりですが、なんだか感慨に浸っています。
2年前はゴルフの調子が最も悪い時期でした。翌年のシード権をどこのツアーでも確定できず、年末になんとか日本での出場資格を手にして…。以前はアジアンツアーとの共催試合で、アジアの賞金ランキングを上げて出場していましたが、この間に欧州ツアー単体の試合になり、「しばらく行けないだろうな…」と考えていました。去年プレーしたメンバーの谷原秀人選手、宮里優作選手をうらやましく思ったのも覚えています。
そして去年、欧州ツアーの予選会を通過して、僕もココに戻ってくることができました。今年は米ツアーで年間王者になったばかりのロリー・マキロイ選手(北アイルランド)もエントリー。景観に圧倒されるこの試合は、世界中を巡る選手たちにとっても特別です。
会場のスイス南部、クランスシュルシエレGCは1906年にできた歴史あるコース。クラシックなつくりでしたが年々、改造を施しているようです。グリーンは小さく、センターが高い“おまんじゅう型”から、面積をひろげてマウンドをいくつか設けた最近流行の形に変化してきました。標高は1500m以上なので、ボールが普段よりも飛びます。距離感を合わせるのにひと苦労ですが、普段の飛距離に10%上乗せして、あとはフィーリングで調整。美しい景色を堪能しながらがんばります。
<今週のディナー>
先輩ふたりとスタッフの皆さんでアルゼンチンステーキのお店で晩御飯。ラウンド中にニアピン対決をして、谷原さんにゴチになりました。また次回の対決も楽しみにしています!