2014年 ザ・ホンダクラシック

<佐渡充高の選手名鑑 109>ロリー・マキロイ

2014/02/26 10:00
2012年の大会で優勝を飾りWR1位に立ったマキロイ。2014年は公私ともに仕切り直して大暴れする!?※写真は2013年ホンダクラシック

■ ザ・ホンダクラシック優勝で世界ランク1位に

ロリー・マキロイ(24)にとって今大会は特別な思い出がある。2年前の3月4日、今大会で優勝を飾り、念願の世界ランク1位に到達したのだ。その前週に行われた「WGCアクセンチュアマッチプレー選手権」でも、優勝すれば世界ランク1位になるチャンスがあったが、決勝でハンター・メイハンに敗れ王座を逃していた。しかし、好調の流れを掴み優勝、22歳312日、史上2番目の若さで世界一の座を手繰り寄せた。(※最年少は1997年タイガー・ウッズの21歳167日)

この出来事はマキロイを高く評価し、彼をサポートしていたジャック・二クラスから受けたアドバイスが効いていた。「対戦相手は君の優勝回数以上に負けた試合が多いんだよ。このような難コースでは自分のミスを少なくして相手のミスを誘い、しっかり生き残るプレーに効果がある」。タイガー・ウッズが猛チャージで2打差に迫る展開となったが、マキロイはニクラスの言葉通り、焦らず14番、15番、17番の難ホールでグリーンを外しながらも寄せワンでパーセーブ。粘りに粘り、逃げ切って優勝を掴んだ。

■ 欧米ダブル賞金王達成から、まさかの低迷

“22歳の若き王者誕生”とマキロイ時代が到来した。同年8月には「全米プロゴルフ選手権」で優勝し、2011年の「全米オープン」に続いてメジャー2勝目を飾った。終盤には「ドイツバンク選手権」、「BMW選手権」と2週連続優勝を果たし、その年最多の4勝を挙げた。米PGAツアーで圧倒的な強さを誇り、賞金王にも輝いた。その後も勢いは衰えず欧州ツアーの賞金レースを制し、究極の目標だった欧米両ツアーのダブル賞金王戴冠に、マキロイの勢いは誰にも止められない!?と思われた。

しかし昨季は序盤から様相が一変。優勝はおろか、まさかの予選落ちが続いた。あまりの不調にマキロイ自身も動揺を隠せなかった。勝てない時期が長引くと「新しいクラブが合わない?」とか、「エージェント移籍など私的な問題が足を引っ張っている?」など、ネガティブな噂ばかりが飛び交った。最もひどかったのは恋人(女子プロテニスの元世界ランク1位カロライン・ウォズニアッキ)と破局!との報道が何度もあったこと。スーパーアスリートカップルだけに芸能ニュースになるのは仕方がないが、そんな報道もマキロイを意気消沈させていたに違いない。2009年の欧州ツアー「ドバイデザートクラシック」での初優勝以来、2013年は欧米両ツアーで未勝利という厳しいシーズンとなってしまった。

■ 再び頂点へ!起死回生のリバウンドを誓う

沈黙の2013年を経て、マキロイが掲げた2014年の目標は「メジャー2勝」だ。その兆しは昨年の秋から現れはじめている。昨年10月に中国で行われたタイガー・ウッズとのエキシビション・マッチで圧勝したことを契機に、同年11月には「豪州オープン」で絶好調のアダム・スコットに競り勝った。世界ランク1位のウッズ、2位のスコットという強敵を次々に破り自信も蘇ってきた。急激に調子を回復した理由をマキロイは「ドライバーとボールを新しいものに変えたこと。自分にジャストフィットし、自分のパフォーマンスを最大限に引き出してくれる」と強調。不調の理由にクラブ変更の影響を示唆されたことへの返答のような言葉だ。新ドライバーはナイキのVR_Sコバート2.0ツアー、ボールはRZNプロトタイプを使用し、飛距離が10ヤード近く伸びただけでなく、コントロール性も向上。相当な手応えを感じているのだ。

さらに昨年2013年の大晦日に豪州シドニーで恋人にプロポーズ、新しい年を迎えた元旦に婚約を発表した。事前に彼女の両親に承諾を得て、男として筋を通してのことだった。2014年は公私ともに仕切り直し必ずリバウンドする!という強い決意の現れか。その契機が再び今週の「ザ・ホンダクラシック」で見られるかもしれない。

2014年 ザ・ホンダクラシック