佐渡充高が簡単解説!初めてのPGAツアー【第三十五回】
■ 「ウェルズファーゴ選手権」
2003年に「ワコビア選手権」としてスタートし、今年で10回目を迎える。2009年からワコビアがスポンサーを降り、「クエイルホロー選手権」に大会名を変更。2011年から現在の「ウェルズファーゴ選手権」と名称を変更している。
■ 高難度コースで、ドラマティックな展開が待ちうける・・・
豪華フィールド、難攻不落のコースセッティングが、今大会「ウェルズファーゴ選手権」の特徴のひとつでもある。このコースの設計者は、オーガスタナショナルのパー3を設計したジョージ・コッブ(1914年~1986年)という人物だ。ジョージア大学で建築学を専攻した彼は、1937年に卒業、1941年に技師として海軍に入隊した。そこでゴルフがうまいことと設計の技術を見込まれて、(海軍)基地内にゴルフ場の設計を依頼されたことがはじまりである。1961年に開場し、1998年、トム・ファジオによって改修されている。ここ、クエイルホロークラブは名門コースで知られ、非常に戦略性に富んだコースだ。また、メジャー大会が開催されても不思議ではない、相応に匹敵する難度の高さを持っている。特に「グリーンマイル」と呼ばれるこのコース終盤の3ホールは、非常に高難度で知られ、17番(パー3)は中でも最も有名なホールである。
さらにこのトーナメント後は、第5のメジャーと言われている「ザ・プレーヤーズ選手権」(TPCソーグラス)が続く。その大きな大会に向けて、戦略的なコースをプレーしておいたほうが次に繋がると考える選手が多く、フィールドには多くの強豪が揃う。スケジュールの観点からも「ザ・プレーヤーズ-」に出場する選手たちは、前の試合に出て勢いをつけたいという思いがあるので、エントリーしやすいという理由もある。
そしてこのコースは、ロリー・マキロイ(北アイルランド)が、2010年に初優勝を果たしたコースでもある。同年、日本で同週に開催された(時差はあるが・・・)「中日クラウンズ」で、石川遼が世界最少ストロークとなる「58」をマークし逆転優勝を飾った。まさにその同日、マキロイがコースレコードの「62」をマークして逆転優勝、ツアー初勝利を挙げた。マキロイはその日、石川の偉業を朝テレビで見て知り「よし、俺も!」と挑んだ結果が、奇跡的な逆転劇を呼び起こした。同世代が魅せる偉業の数々・・・。マキロイはこの1勝以来、強さはうなぎ登りとなり、昨年の「全米オープン」優勝にまで繋がっていると言えよう。そのように素晴らしい選手を産出するコースでもある。