2011年 バイキングクラシック

佐渡充高が簡単解説!初めてのPGAツアー【第四回】

2011/07/13 11:37

佐渡さんがトム・ワトソンのキャディになった経緯を教えてください。

伝説のプレーヤーとなった今も現役でプレーを続けるトム・ワトソン。写真は1978年のニッサン・オープン(PGA TOUR/WireImage)

(前回のお話の続き…)経緯は・・・誤解があったんですよ、たぶん(笑)。太平洋クラブマスターズには以前からお世話になっていましてね。軽井沢で夏合宿をさせてもらったり・・・、でもその代わりに、週末や夏休みにキャディの仕事を手伝ったりしていました。そこの支配人が、太平洋クラブマスターズのトーナメントディレクターで、キャディの調達係でもあったんです。

私は上智大学の出身なのですが、その当時、支配人は上智の学生なら英語が話せると思っていて、外国人選手のキャディには上智生をつけると、はなから決めていたらしいんです。英語ができないと、トラブルにもなりかねませんからね。決して私も英語ができるわけではないのに、そういう誤解があって引き受けることになったんです。大学1、2年生の時にギル・モーガンという選手のキャディを担当しました。モーガン選手は私が大学1年生の年に優勝し、その翌年もトップ5に入りました。当時、ワトソンのキャディをやっていたのが立教大学の4年生で、その方が卒業してしまったこともあって、大学3、4年生の時にワトソンのキャディをやることになったんです。運ですよね(笑)。

(そのときの率直な感想は?)びびりまくりですよね!だってワトソンは当時、4年連続賞金王(1977年から1980年)のタイトルを獲得した絶頂の時でしたから。注目はされるし、まわりの選手からもいろいろと質問をされるし、メディアの取材も多かったですね。あの当時、記者の人たちの中に、英語を話せる人があまりいなかったので、自分が一手に背負うかたちで大変でしたね。

ワトソンをそばで見て、すごいと感じたところはありましたか?

彼は当時から大柄な体格ではなかったけれど、ロングアイアンで打つショットがとても見事でしたね。中でも2番アイアンでのショットは特にすごかった。今のPGAツアーに参戦している選手でも、(2番アイアンを)持っているのは5人くらいしかいないですよ。そのくらい難しいクラブです。でもその2番アイアンを、自在にこなせる選手がやっぱり強かったんですよね。

ワトソンはその2番アイアンで、ウェッジくらい高い球を打つのですが、それがバックスピンでホップする球じゃない、弾道がいきなり高く、スピン量も少ないので向かい風に負けない球が打てたんですよ。教えてくれと頼んだけど、「No!」って言われました(笑)。もう一つ見事だと感じたのは、ものすごい逆風の時に、同じ2番アイアンで、人の身長くらいの高さのショットを打ったんです。ワトソンは難しいクラブである2番アイアンで、高低の打ち分けができていたってことですよね。どんな強い風でもつんざくような打球。まねしてもまねできない技でしたね。

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