プレジデンツカップ米国選抜の鍵を握る5人のクラブ
木曜から始まるカナダのロイヤルモントリオールGCでの「プレジデンツカップ」は、それぞれ12人の選手で構成される米国選抜と世界選抜が、4日間にわたり5ラウンドの競技を行って勝敗を競う。
それぞれ母国にプライドを持って臨むだけに、いつもとは異なるシチュエーションで競い合う大会は興味をそそる勝負となる。選手たちは、日曜に行われるシングルスに加え、その前段としてベストボール方式としても知られるフォアボール、そしてオルタネートショットと呼ばれることもあるフォアサムを2ラウンドずつプレーすることになる。
この大会は、米国が支配してきた歴史を持っており、1994年の第1回大会以降、敗れたのは1大会のみとなっている。とはいえ、常に均衡したプレーのせめぎ合いで、ローマで開催された昨年の「ライダーカップ」では、米国選抜は欧州選抜に敗れている。
ギア的な見地からこの大会を俯瞰し、各チームの鍵となりそうな選手をピックアップしてみた。前編は米国選抜チーム。
■ スコッティ・シェフラー
・鍵となるクラブ:テーラーメイドP-7TWミッドアイアン
・鍵となるスタッツ: ストロークゲインド:アプローチ・ザ・グリーン(1位)、パーオン率(1位)、ホールへの平均プロキシミティ(2位)、150~175ydでのホールへのプロキシミティ(1位)
シェフラーのゲームに弱点を見つけ出すのは至難の業だが、彼が特に優れているのはアイアンショット。ホールの近くにつける技量は2024年のPGAツアーにおいて、彼の右に出る者はいなかった。
「僕は両方向へ曲げてボールを操作するのが好きなんだ。右から左(ドロー)、そして左から右(フェード)へカーブさせるのを打ち分けるのが好きだし、飛距離のコントロールについては、常に徹底して練習しているね。練習レンジでは毎回、各番手が然るべき飛距離になっていて、感覚とボールの飛距離がマッチしていることを必ず確認している。それにより、コースに出ると、より頻繁にピンハイにつけることができると感じられるんだ。アプローチプレー(グリーンを狙うショット)において、それはとても重要だと思う。ピンハイに打って、グリーンの正しい区画にボールを置く上でね。ボールを両方向へ曲げて、多様なピン位置に対応するんだ」とシェフラー。
ボールに対する究極のコントロールが、グリーンのどこにピンが切っているかに関係なく、ピンを攻めることができるのである。
■ ザンダー・シャウフェレ
・鍵となるクラブ:オデッセイ トゥーロンデザイン ラスベガス プロトタイプ7CHパター
・鍵となるスタッツ: ストロークゲインド:パッティング(10位)
シャウフェレはもう何年も前からオデッセイの「トゥーロンデザイン ラスベガス プロトタイプ7CHパター」を使用しており、2024年は特にこのパターが絶好調だった。マッチプレーにおいてよく入るパターは、いつであれ対戦相手にとって悩みの種となる。仮に、シャウフェレのミスを待つ場合、かなり長いこと待たされることになるかもしれない。
「自分のパターはかなり気に入っているね。もう随分長いこと赤いパターを使っている。僕の勝利の多くは、赤いパターで成し遂げたものなんだ。これはインサートが異なるのだけど、緑の芝に対して赤いパターを見下ろすことには、なんとも言えない良さがあるんだ。これには白線で、スコアリングのラインとエイミングのラインが入っている。何故自分がこのパターを気に入っているかについて、打感や打音など、詳しく説明することもできるけれど、その大部分は常に赤が好きだったし、故にそれを使い続けているということに尽きるね」とシャウフェレ。
■ サヒス・ティーガラ
・鍵となるクラブ:ピンG430 LSTドライバー
・鍵となるスタッツ: ストロークゲインド:オフ・ザ・ティ(19位)
2024年にティーガラは弱点を強みに変えた。昨季、彼のストロークゲインド:オフ・ザ・ティ(ティショットの貢献度)のランキングは134位に過ぎなかった。今年、このスタッツを19位にまで上げたのである。
「今年はティショットがかなり良くなった。僕にとって常に最大の弱点だった。もうドライバーは変えたけど、それまでずっと同じクラブを使い続けていて、大部分はトレーナーとコーチのお陰で正しいポジションに直してパワーアップし、自分のスイングをどんどん突き詰めていくことができたから」とティーガラは振り返る。
「僕は独特のやり方で、自分のスイングと格闘することなく、自然の流れに任せることにしている。それでかなり良くなったんだ。(ドライバーは)大きな不安を感じ、多くの大会や多くのショットを犠牲にしてきたクラブだったけど、今はより一貫性を上げる手助けをしてくれているわけだからね。心から自分の武器と感じているよ」。盤石の態勢を築いた。
■ マックス・ホマ
・鍵となるクラブ:タイトリスト ボーケイSM10ウェッジ(PW、GW、SW、LW)
・鍵となるスタッツ: 100yd以内の平均プロキシミティ(12位)、50~125ydの平均プロキシミティ(13位)、75~100ydの平均プロキシミティ(10位)
ホマは常に彼のタイトリスト ボーケイウェッジに一風変わった刻印を施しており、同様に、ウェッジのソールにはロフトの数字ではなく、アルファベットが刻印されている。例えば、“ロブウェッジ”であればL、“サンドウェッジ”であればSといった具合に。ホマのウェッジの見た目はクリエイティブだが、ホマが本当の意味で楽しんでいるのは、彼がウェッジゲーム全般で見せる創造性なのである。
「僕はウェッジのプレーをかなり楽しんでいる。大学のチームメートの名言で、彼はウェッジを道具と見なしていると言ったんだ。だから、僕は(ウェッジの用途は)一つの特定のショットだけではないと思っている。想像力を発揮し、できる限りホールに近づける、あるいはホールインを狙う方法を模索するんだ。これは僕にとって、目的みたいなもの。ちょっとした思想だね。だから、まあ、これは僕にとっては楽しい分野なんだ。僕はボールがピンの周りを踊っているように見せることもできるように思えるし、スピンやカーブや高さでクールなことをして、ショットの見栄えを良くすることができるんだ。そして、理由はどうあれ、ここ数年、それがとても良い結果につながっているんだよ」
■ パトリック・カントレー
・鍵となるクラブ:タイトリスト915F 3番ウッドとTS2 7番ウッド
・鍵となるスタッツ: ストロークゲインド:250~275ydの平均プロキシミティ(5位)、パー5のバーディ以上率(11位)、パー5のスコアリング(2位)
カントレーは頻繁にクラブを替える類の選手ではない。彼は一度、素晴らしく機能するクラブを見つけると、それを使い続ける。3番ウッドは2014年にリリースされたタイトリスト915F、7番ウッドは2018年にリリースされたタイトリストTS2を使っているのは、その好例である。彼はPGAツアーにおける最高のフェアウェイウッドの使い手の一人で、パー5での脅威は計り知れない。それはフォアボールにおいて重要性を増すことになる。
「タイトリストの3番ウッドと7番ウッドはどちらも少し古いモデル。もう随分長いこと使っているけど、これらのクラブに関しては、一度恋に落ちて、絶対の信頼を置けるのであれば、替えるべきではないと感じているんだ。フレッド・カプルスが、(シャフトが)レディースのフレックスの3番ウッドを長年使っていたというのを聞いたことがあるけれど、7番ウッドや3番ウッドのようなクラブと恋に落ちると、バッグから外すのが難しくなるんだよ」と話した。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)