パワーアップの“副作用”か フィナウが1Wのシャフトを変更
トニー・フィナウはPGAツアー屈指のドライバーの使い手として知られているが、2024年の彼のドライバーの成績は例年の水準に及んでいない。
フィナウはストロークゲインド:オフ・ザ・ティのランキングを71位としており、これは目下キャリアワーストとなっている。彼がタイトル防衛に臨む「テキサスチルドレンズ ヒューストンオープン」で新しいドライバーに乗り換えようとしている理由も、そこにある。
パー70で全長7435ヤードと、距離のあるメモリアルパークGCでの火曜に、フィナウはお馴染みの「ピンG430LST」のシャフトを、これまで長く使用してきた「三菱ケミカル ディアマナD+リミテッド70TX」から、「三菱ケミカル ディアマナGT 70TX」へ変更したのである。
三菱ケミカルによると、GTモデルはディアマナシリーズでも最も手元が硬く、中間と先がよりソフトになっていることで、フィナウ特有のトランジション(切り返し)とリリースに完璧にマッチしているとのこと。
今回の変更にはスピン量を削減する狙いがある。彼の2022-23シーズンのドライバーのスピン量は平均すると2715.3 rpmだったが、これが2024年は平均3022.4 rpmへ跳ね上がってしまったのである。
フィナウはGolfWRX.comに、「僕のドライバーのスピン量はここ1カ月ほど少し多めだったので、用具をチェックしてみる時が来たんじゃないかと思ったんだ。それではっきりと分かったのだけど、僕がクラブへ負荷をかける今のやり方には、これまでのシャフトは先が少し固すぎたようなんだ」と述べた。
スイングスピードの向上を最優先にしてオフシーズンを過ごしたフィナウにとって、これは最新のギア調整となる。PGAツアー6勝のフィナウは、シーズン開始から、具体的な進歩を目にしてきた。2022-23シーズンの平均ヘッドスピードを時速118.3マイル(52.88m/s)、そして平均ボール初速を時速178.1マイル(79.62m/s)としたフィナウの平均飛距離は304.2ydだった。2024年になり、彼はヘッドスピードとボール初速の両方で、時速5マイルのスピードアップに成功(それぞれ55.38m/sと81.94m/s)した。しかし、急増したスピン量の副作用として、ティショットの平均飛距離は2.2yd落ちてしまったのである。ドライビングアキュラシー(フェアウェイキープ率)も60.7%から54.9%まで落ちている。
一般的にはスピンが必ずしも悪いわけではなく、スピン量が増えることで正確性の向上も望めるのだが、彼ほどパワフルな選手になると、3000 rpm以上のスピン量は最適な飛距離と精度を追求する上で弊害となり得るのである。34歳のフィナウは、これまでSG:オフ・ザ・ティをトップ50圏外としてシーズンを終えたことは一度もないが、彼は現在同ランキングでトップ70圏外に位置している。なお、フェデックスカップでは57位につけている。
フィナウはそこまで頻繁にギアを替える方ではないが、ヒューストンでGolfWRX.comに語った彼の最近のスピードアップが、それを強いたのである。「僕は下半身がより強靭になったんだ。これまでも常にスピードはあったけれど、より強靭な体になったので、より楽にクラブを速く振ることができるようになったんだ」
スピード、強度、そして新たにフィットしたドライバーは、今週フィナウがタイトル防衛を期して臨む「テキサスチルドレンズ ヒューストンオープン」の他の出場者にとっては、悩みの種となるかもしれない。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)