2023年 全米オープン

ヒゲもイイ感じ…松山英樹のメジャー2勝目への道のりは/PGAツアーコラム

2023/06/15 22:00
松山英樹はヒゲも話題に?(Getty Images)

メジャー今季第3戦「全米オープン」が15日、カリフォルニア州のロサンゼルスCCで開幕する。PGAツアーのChuah Choo Chiang氏はオリジナルコラムでメジャー2勝目を狙う松山英樹に言及。最近の海外メディアでは、顔に蓄えたヒゲも話題だ。

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ヒゲを生やした松山の姿は、これまでの彼の“ベストバージョン”と言えるかもしれない。日本のスーパースターは今週、名門ロサンゼルスCCを舞台にした「全米オープン」に出場する。ブックメーカーいずれ、このヒゲのスタイルがいつまで続くか、オッズを設定してもおかしくないだろう。

2021年の「マスターズ」で日本男子初のメジャーチャンピオンになった松山は最近、PGAツアーで性格の明るい一面を見せている。それはメジャーでの活躍へのカギを握るかもしれない。2週前の「ザ・メモリアルトーナメント」では新しいスタイルについて問われ、満面の笑みで質問に答えていた。

メディアへの対応は“ストイック”に臨むことで知られるが、「仕事ばかりで遊びがないのは退屈だ」と誰かに聞いたのだろうか…。「どうしてヒゲがここまで伸びたのかは何とも言えないけれど、みんながイイ感じだと言ってくれる。このままでイイかも」と、通訳を介して笑顔で説明した。

ヒゲを生やして良かったと思うことは?「剃る必要がない」とまた笑った。そんな気さくな姿を米国のゴルフライターはおもしろがる。5月に「全米プロ」を制したブルックス・ケプカとフェデックスカップ王者のロリー・マキロイ(北アイルランド)と同じ組で、自身11回目の「全米オープン」の予選ラウンドを回る、最近の日本人選手の姿だ。

これまでの松山は「全米オープン」で3回のトップ10入り。予選落ちは1回で、ザ・カントリークラブでの昨年は最終日に「65」をマークして4位で終えた。優勝したマシュー・フィッツパトリック(イングランド)には3打差だった。2017年大会ではエリンヒルズで自己最高の2位タイフィニッシュ。その年は3勝をマークして世界ランキングで2位になった大成功の一年だった。

ちなみに、この年は松山が結婚して父親になった、私生活でも変化があった年。(急きょ発表された)当時、彼は「結婚したのかどうか、誰も聞いてこなかったから、答える必要がなかった」と話していた。

上り調子で全米オープンへ(Getty Images)

最近の松山は背中と首の故障から、練習場で最もハードに過ごしてきたこれまでの様子とは違い、悩まされている。2022年3月の「アーノルド・パーマー招待」以降、途中棄権が何度かあり、悪化を防ぐためにプレーと調整法を適応させている。

最後の勝利は、2022年1月の「ソニーオープンinハワイ」。チェ・キョンジュ(韓国)に並ぶアジア出身選手最多の8勝目をマークした。ここ最近はストロークプレーでの6試合で最低の成績も29位(全米プロ)と復調の兆しがあり、3月の「ザ・プレーヤーズ選手権」で単独5位に入っている。

「タフな時期。首の痛みで飛距離も落ちている。それでも、僕は良い夏を迎えたいと思っている」。ケガへの心配を抱え、不確定な状況に直面している。「メモリアル」では肉体面について「悪くない」と答えた後、「あしたの朝はわからないけど…」と言った。

とはいえ、松山は3月に「以前の状態に近づきつつある」とも話していた。「たくさんのことを変えることで良い結果が出るか、打ちたい球が打てるようになるか分かるまでにはまだ時間がかかる。首の状態を確かめながら、できるだけ負担がかからないようにするための策を話し合っている」

松山は世界ランクで現在26位。長年アジア勢をリードしてきたが、イム・ソンジェ(19位)とトム・キム(22位)に後塵を拝している。フェデックスカップポイントランキングも58位。8月の最終戦「ツアー選手権」に10年連続で出場し、現役最長記録を更新するためには挽回が求められる。

メジャー2勝目、ツアー9勝目を目指す松山にとっては今、ヒゲを蓄え、リラックスした様子こそが必要なものかもしれない。今週の会場から数マイルのところにハリウッドがある。松山は自分でキャリアの脚本に手を加えて、もう一度チャンピオンに返り咲くかもしれない。

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