スコッティ・シェフラー&パトリック・カントレーの使用ギア詳細
スコッティ・シェフラーは今季、「マスターズ」を制覇するなど、PGAツアーで4勝を挙げ、6月にはフェデックスカップランキングで新記録となる1041ポイント差で首位を快走した。シェフラーは首位の座を譲ることなく、フェデックスカッププレーオフ最終戦「ツアー選手権」を迎えた。一方、前週の「BMW選手権」で優勝を遂げるまでフェデックスカップで7位につけていたパトリック・カントレーは、その勝利により2位に浮上して最終戦に進んだ。
ポイント差ではなく、打数の差という、独特のスターティングストローク方式のもと今週の終わりに最少スコアを出した選手が、フェデックスカップを制覇し、1800万ドルのボーナスを手にすることになる。注目はその2人、初の年間王者を目指すシェフラー、そして史上初の2年連続フェデックスカップ制覇を狙うカントレーだった。
そこで我々GolfWRXは、イーストレイクにおけるリーダーボードの上位2人のバッグの中身を精査することにした。シェフラーとカントレーは、ともに用具に関してはとても一貫しているという共通点はあるものの、いくつか顕著な違いも見られた。我々は、6つの大きな違いを発見した。
1.ブランド:最初に挙げる相違点は、最も明白。シェフラーはテーラーメイドの契約選手である一方、カントレーはタイトリストと用具契約している。
2.異なるドライバーのロフト:シェフラーはより低いロフト7.5度のドライバーを使用し、カントレーはロフト9.5度のドライバーを使用している。
3.ドライビングアイアンvs.高ロフトフェアウェイウッド:シェフラーのアイアンセットにおける上の番手はドライビングアイアン(3番、4番)となっているが、カントレーはその代わりに7番ウッドを入れている。
4.ブレードvs.キャビティバック: シェフラーはブレード型のアイアンを使っているが、カントレーはオフィセンターヒットの寛容性に優れたキャビティバックのアイアンを使っている。
5.アイアンシャフトの重量:シェフラーは重さが約130gあるトゥルーテンパーのダイナミックゴールド ツアーイシュー X100シャフトを使用し、カントレーも同じトゥルーテンパーのシャフトを使用しているが、こちらは重さ120gと軽めのダイナミックゴールド120 ツアーイシュー X100シャフトとなっている。
6.ブレード型パターvs.マレット型パター:両者ともにカスタムモデルのスコッティキャメロンを使用しているが、シェフラーがより伝統的なブレード型パターを使用しているのに対し、カントレーはより寛容性の高いウィング型マレットを使用している。
彼らのゴルフクラブに関する違いは、カスタムフィッティングの重要性を浮き彫りにしている。スイングは一人ひとり異なるのだから、皆が同じクラブを使用するべきではないのである。シェフラーとカントレーは、まさにその好例といえよう。
以下は、彼らのセットアップ全体の詳細であり、これに目を通すと、彼らが現在何を使用し、今年1年を通じて何を変えてきたを把握することができる。
スコッティ・シェフラー
以前にも触れた通り、シェフラーは自分の使用ギアをあまりいじらない。実際、彼は「マスターズ」制覇以降、バッグの中身を何一つ変えていない。
しかしながら、シェフラーは3月の「プレーヤーズ選手権」開催週に、テーラーメイドゴルフと用具契約をするという、ギア関係では2022年最大のニュースを提供した。
この発表前、シェフラーは用具契約フリーの選手だったため、特定のブランドの使用を義務付けられてはいなかった。それに加え、彼はPGAツアーで2勝を挙げたばかりだった(「WMフェニックスオープン」と「アーノルド・パーマー招待」)。
では、なぜ彼はテーラーメイドと契約するに至ったのか?
「何よりもまず(契約の理由は)ドライバーだった」と、シェフラーは「マスターズ」制覇後にGolfWRXのポッドキャストで述べている。「僕はもう、しばらく前から(テーラーメイドP-7TW)アイアンを使っていたのだけど、(テーラーメイド ステルスプラス)ドライバーを冬場に試打したところ、かなり飛距離が伸びたんだ。そこで、自分がこのドライバーを使うのは間違いないし、このアイアンを使うのも間違いないから、何か形にできるかもしれない、という感じになった。このブランドは一貫して使っていたので、もちろん僕は彼らのすることを信頼していた。ファミリー、そしてチームの一員になることは、僕にとってとてもクールなことだったので、彼らとうまくいくようにしたいと思い、契約に漕ぎ着けることができたんだ。僕はこのチームの一員となれて満足している」
しかしながら、テーラーメイドとの契約後も、シェフラーは用具をほとんど変えておらず、唯一の変更は、テキサス州オースティンで開催された「世界ゴルフ選手権デルテクノロジーズマッチプレー」でナイキVRプロリミテッドのフェアウェイウッドから新しいテーラーメイド ステルスプラスの3番ウッドに乗り換えたことであり、彼はこの大会を制覇して世界ナンバーワンに上り詰めた。
彼はこの理由についてGolfWRX.comにこう説明している。「僕が苦心していたことの一つが、3番ウッドで飛び過ぎてしまい、狙った球筋が出ていなかったことなんだ。オースティンは、僕にとって『OK、ティショットでこれを何回か使うことになるから、バッグに入れて、何ができるか様子見してみよう』というのにうってつけの場所なんだ。それに、とてもシームレスな移行だった。自分の狙った球筋のショットが打てたんだ。ミスヒットをしても、ナイキよりテーラーメイドの方が、精度が高かった。これまで、僕は大幅な向上を目の当たりにしてきた」
シェフラーのバッグで最も目を引くのは、彼の使用するアイアンであると言っても過言ではないだろう。それはテーラーメイド P-7TW アイアンであり、これは同社とタイガー・ウッズが共同設計したモデルで、そのためクラブ名には彼のイニシャルが入っている。当然のことながら、シェフラーはGolfWRX.comに、そもそもシェフラーがこのアイアンを試打するにあたっては、ウッズの影響が大きかったと述べている。
「これを試してみた理由は、確実にタイガーの影響だったと言うべきだろうね。僕は何年もの間、P730を使っていて、2020年にタイガーとマスターズでプレーした時に、彼のプレーを見たんだ。彼はかなりソリッドに良い弾道のショットを打ち、ボールを操って、色々なショットを打っていた。それでピンと来るものがあって、『僕は長い間、彼が開発に携わったナイキのクラブを使っていたじゃないか』と思い、少なくとも彼の新しいテーラーメイドのアイアンをテストすべきじゃないかって考えたんだ。と言うのも、あれは彼のアイアンであり、アイアンの開発と製造の過程で彼の影響があったのは間違いないからね」
「僕はオフシーズンに自宅で、アイアンをテストしたのだけど、このアイアンではもっと色々なショットが打てることが明らかになったんだ。僕はこのアイアンで、より弾道をフラットにすることができたので、必要に応じて低い弾道や、風を切り裂くショットが打てたんだ。それに、必要とあらば高い弾道も打つことができるんだよ。P730と比べて、ボールを操る上でのバラエティに富んでいるんだ。大きな違いではないのだけど、時速20マイルの向かい風が吹いていて、弾道を抑えた時に違いが出るんだ。これだと弾道を抑えることでき、ヘッドから放たれるボールが安定するんだ。ほんの数ヤードの違いだけど、僕にとっては大きな違いに感じられた」
また、シェフラーはPGAツアー初優勝を遂げた「WMフェニックスオープン」(これは彼にとって2022年に挙げた4勝のうちの最初の勝利でもあった)の週に、パターを長さ36.5インチでソールに25gのウェート2つが装着された、カスタムモデルのスコッティキャメロン タイムレスツアータイプGSSプロトタイプに変えている。
スコッティキャメロンのパターレップ、ブラッド・クロークは、“スコッティ(シェフラーの方のスコッティ)”スペシャルの裏話について、タイトリストのプレスリリースでこう語っている。「彼は2022年を迎えるにあたり、少し変更を加え、若干見た目を変えることを望んだのです。スタジオの我々を訪れる前、彼は自宅にあった古いニューポート2タイムレスで試行錯誤をしていました。彼はソールに大量の鉛テープを取り付け、彼のスーパーラットのパターのスイングウェートに近づけようとしていました。彼は、かなり見た目は気に入っていたのですが、打感は望み通りのものではなかったので、我々は可変ウェート付きの新しいパターを彼のために組み上げました」
シェフラー使用ギアのフルスペックは以下の通り。
ドライバー:テーラーメイド ステルスプラス(8度、実効ロフト7.5度)
シャフト:藤倉コンポジット ベンタスブラック 7X
3番ウッド:テーラーメイド ステルスプラス(16.5度、実効ロフト15度)
シャフト:藤倉コンポジット ベンタスブラック 8X
ドライビングアイアン:スリクソンZ-U85(3番20度、4番20度)
シャフト:日本シャフト NSプロ モーダス3 ハイブリッド ツアーX
アイアン:、テーラーメイド P-7TW(5番~PW)
シャフト:トゥルーテンパー ダイナミックゴールド ツアーイシュー X100
ウェッジ:タイトリスト ボーケイデザインSM8(50-12F、56-14F)、タイトリスト ボーケイ ウェッジワークス プロトタイプ(60-06K)
シャフト:トゥルーテンパー ダイナミックゴールド ツアーイシュー S400
パター:スコッティキャメロン タイムレスツアータイプGSSプロトタイプ
ボール:タイトリスト プロV1
パトリック・カントレー
あまり頻繁にクラブを変えないのはカントレーも同じ。いまだに2018年から使い続けているドライバー、2014年からの3番ウッド、2017年からのアイアン、そして2018年から使用する2本のウェッジを使っている。
バッグの中で最も新しいクラブは、彼が2021年8月から使い始めたカスタムモデルのスコッティキャメロンT5プロトタイプパター、そして「マスターズ」から使い始めた新しいタイトリスト ボーケイ ウェッジワークス60-Tカスタムウェッジとなる。この新しいウェッジのソールは、ボーケイの中では最もバウンスの低く、ジョーダン・スピースやジャスティン・トーマスも使うなど、ツアー選手の間で人気を博しているTグラインドになっている。
カントレーの現在の使用ギア一覧は次の通り。
ドライバー:タイトリスト TS3(9.5度、B1シュアフィット設定、ライ角は0.75度フラット)
シャフト:三菱ケミカル ディアマナZF 60 TX
3番ウッド:タイトリスト 915F(15度、B1シュアフィット設定、ライ角は0.75度フラット)
シャフト:三菱ケミカル ディアマナZF 70 TX
7番ウッド:タイトリスト TS2(21度、B1シュアフィット設定、ライ角は0.75度フラット)
シャフト:三菱ケミカル ディアマナZF 80 TX
アイアン:タイトリスト 718 AP2(4番~9番)
シャフト:トゥルーテンパー ダイナミックゴールド120 ツアーイシュー X100
ウェッジ:タイトリスト ボーケイデザイン SM7(46-10F、52-08F)、タイトリスト ボーケイデザイン SM9(56-08M、60-T)
シャフト:トゥルーテンパー ダイナミックゴールド ツアーイシュー S300
パター:スコッティキャメロン ファントムX T5プロト
ボール:タイトリスト プロV1x
(協力/GolfWRX、PGATOUR.com)